今回で13回目を迎えるストラディヴァリウス・サミット・コンサートですが、演奏団体はベルリン・フィルのメンバーですので、タイトルは13名で編成されているベルリン・フィルハーモニック・ストラディヴァリ・ソロイスツにしました。このコンサートの主催が某人材派遣会社のため、その招待者が多いせいか、いつものサントリーホールとの客層が違いますし、LAとRAブロックに空席があるのに、S席は満席なのが不思議です。演奏中にお菓子を食べる人がいたり、演奏中に遅れて席に座る人がいたりと、普段のサントリーホールとは少し異なります。前半のモーツァルトやバッハでは楽章間での拍手が起こりました。少し退屈さを感じる3曲目のヴィヴァルディVc協の第2楽章はさすがに観客が眠くなる人が多く、楽章間拍手が無くなりました(^^)。

ベルリン・フィルをおっかけレベルで聴いている小生としては、このコンサートはストラディヴァリである必要あるのでしょうか。ストラディヴァリはメインテナンスが大変ですし、奏者も普段の楽器と違うので、慣れていないから弾きこなすのが大変だと聞いてます。ストラディヴァリは響きは素晴らしいものの、音量は控えめで、こもった音がします。奏者が慣れていないと外れた音が出てくることがあり、「四季」の春の第2楽章のヴィオラの音は完全に外れてました。ベルリン・バロック・ゾリスデンの方が音がシャープで、ベルリン・フィル(Bph)らしさを感じます。↓このBphのデジタルコンサートホールの四季の映像は凄い演奏で、今日とは比較になりません。

今日の四季のソリストは樫本大進さんが担当して欲しかったところですが、ソロは春がナーメル、夏がイヴィッチ、秋がコエーリョ、冬がベルナルディーニと交代で担当し、ベルナルディーニは暗譜で弾いてましたが、演奏自体は至って普通でした。今日の四季で1番の「創意」を感じたのはコエーリョの秋で、独自のテンポで展開してました。また第3楽章の狩のシーンではチェロ奏者が楽器を叩いていたり、クリエーティブなアプローチの演奏でした。チェロの天才奏者・コンツは半分以上、スコア通りではなく、弦をはじいてジャズのようなノリで演奏していました。この方は公演終わって真っ先に帰る人で、天才肌なところを感じます。アンコールは翌日のTOCのプログラムからの2曲が演奏され、コエーリョのソロのバッツィーニの「妖精の踊り」は秀逸でした。アンコールでの日本語でスピーチされたのはヴィオラのキュッスナーさんで、奥様が日本人なので少し日本語を話せるとそうです。結論、ストラディヴァリの音の凄さはあまり感じられませんでした。


(評価)★★★ ストラディヴァリの実力を見出すことができませんでした

*勝手ながら5段階評価でレビューしております

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★: 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演



曲目
モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K. 136(125a)
J. S. バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV 1043
ヴィヴァルディ:2つのチェロのための協奏曲 ト短調 RV 531
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』より「四季」 Op. 8
(アンコール)
バッツィーニ: 妖精の踊り
マスネ: タイスの瞑想曲