これだけでも、リッツィの名匠ぶりが分かりますが、今日の演奏では、フルートやピッコロの破壊的な鳴らし方がハンパ無く、まさに、ヴェルディならではの演奏、人間ドラマの音楽を体現しています。今でも、耳に響くピッコロの鋭い響きは流石だと感じましたし、生のヴェルディ・オペラを鑑賞している体感があります。先週の生ぬるいムーティさんの仮面舞踏会の演奏会形式とは大違いです。
本日のGPの前に大野監督が冒頭にスピーチされました。メモを取っていないので、記憶の範囲で3点ほど上げると、
1. ルッツィは大野監督と同年代で、何度か指揮者コンクールで一緒になったことがあり、お互いに「カルロ」、「カズシ」と呼ぶあう仲である
2. ラダメス役のアロニカは、世界のテノールで3本の指に入るくらいの名歌手である(by 大野監督)
3. ランフィス役の妻屋さんは、1998年のアイーダ初演時から毎回のように出演していて、今日の衣装は妻屋さん用に初演から継続して使用されている(2008年のランフィスのみ別のキャスト)
と言うことみたいです。
確かに、新国立劇場の専属歌手的な存在である妻屋さんのランフィスは、冒頭から文句のつけどころがないほど存在感があり、素晴らしい歌唱でした。主役らは、ゲネプロだからか、少しセーブしている感じがあり、アイーダ役のファルノッキアは第1幕の伝令の村上さんと同じくらいの声量なので、7-8割レベルで出していたのでしょうか。大野監督が絶賛のラダメス役のアロニカも素晴らしい歌唱でしたが、所々、セーブしている印象があり、8-9割レベルで出しているのでしょう。アムネリス役のロバーツは、昨年の段階で代役が決まって出演している歌手ですが、今日の段階では1番声が出ていました。アモナズロ役は、昨年末にヴァッサーロから須藤に変更になりましたが、今はイースター・シーズンなので、なかなかヨーロッパの名歌手を揃えるのは難しかったのでしょうか。舞台上のエチオピアの捕虜の中で、アモナズロを探すのが難しいくらい、須藤さんの存在感は薄かったです。1998年の初演の時のアモナズロがグレック・ベーカーと言う長身の黒人系歌手が出演して以来、この役は堀内康雄さんら日本人歌手が担当していたことを今回知りました。グレック・ベーカーは、ポーギーとベスで欧米で活躍していた歌手です。
ゲネプロなので、歌唱はフル回転で歌っていないかもしれないので、明後日以降の初日を楽しみにしたいところですが、中1日あけての初日に行くのはパスしようと思います。先週のムーティさんのアカデミーとは違い、ルッツィさんのヴェルディの音楽は本格的でした。次回のアイーダのブログでは、演出面を中心にレポートしたいと思います。
(評価)ゲネプロなんで、評価はできないです