22年8月のザルツブルク音楽祭で、ペトレンコの代役でベルリン・フィルを指揮したハーディング


先月のブログ(今年11月の来日公演)で、キリル・ペトレンコのキャンセル・リスクについて言及しましたが、2月のベルリン・フィルの定演をペトレンコは昨年の脚の怪我の再手術のためキャンセルとなり、代役は昨年夏のキャンセルの代役と同じダニエル・ハーデングになりました。同じく2月のベルリン州立歌劇場のバレンボイム指揮のカルメンなどもキャンセルになっており、この時期にベルリン音楽鑑賞に行かれた方は、少し残念な結果になってしまいました。

ペトレンコは腰痛のため、21年のジルベスター3公演をキャンセルし、これはシャニが代役を務め、また、右脚の怪我のため22年の8月のオープニングコンサートと夏の欧州ツアーの2つのプログラムのうち、1つをハーデングを任せて、ペトレンコはマーラー7番のみを指揮しました。この時の映像は、↓で観れますが、指揮台に椅子が用意されていて、怪我した右脚用に台が置いてありましたが、実演を観ると、脚の怪我を気にせず、ハイテンションでマーラー7番をグイグイ引っ張っていきます。

一方、昨年夏にペトレンコのキャンセルしたハーディングの公演は急な指揮者交代のため、プログラムが一部変更になり、

(変更前)ショスタコーヴィッチ: 交響曲第4番

  ↓

(変更後)ブルックナー: 交響曲第4番

となり、個人的にはブルックナーで良かったですが、ハーディングのアプローチは、アバドのようにあっさりしており、良い意味でベルリン・フィルの力任せの部分が感じられました。ハーディングは、指揮者として特定のポストに拘らず、半ばフリーで活動しているので、昨年と今年のペトレンコのバックアップとして、もともとアサインされている可能性があります。

ペトレンコ指揮・ベルリンフィルの公演は、この1年あまりで、10公演以上キャンセルになっているので、20%くらいの可能性でキャンセルになっていることになります。彼はまだ若いのでガチの運動をしていて、舞台袖から指揮台へは超早歩きで、テンション高く登場しますが、無理をしてる感じがありますし、ガチの運動による怪我を繰り返しているので、あまりご無理せず、日本公演を迎えて欲しいものです。もし、ペトレンコがキャンセルした場合は、再びハーディングの可能性が高いでしょう。これは、変更する曲目によって、賛否両論になりそうです。アバドとラトル時代のベルリンの演奏会は、キャンセルが少なかったと記憶してますので、このお二人の健康管理はしっかりとされていたのでしょう。

脚の怪我が回復しつつあったペトレンコによるマーラー7番(2022年8月) *この時は用意された椅子には座らず指揮をしていました