今年11月の海外オケの来日公演は、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、コンセルトヘボウの世界三大オーケストラに加えて、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、ライプチヒ・ゲヴァントハウス、イスラエル・フィル、NDRエルプ・フィルなど超豪華ラインナップで、海外へジャーニーしている時間がないくらい充実しています!この1ヶ月余りでザルツブルグやルツェルン音楽祭並みの音楽ライフが楽しめそうです。そこで、私的なおすすめ順と現地からの情報などで曲目プログラムを予想していきたいと思います。また、現地で鑑賞したこともあるプログラムもあるので、事前予想評価は余計かもしれませんが、追記します。今年秋の来日公演はブラームス、R.シュトラウスやブルックナーが多いと予想されます。5位以下の中堅オケは、日本人著名ソリストと共演するパターンが多いです。チケット代は円安・燃油高の影響で昨年より高くなりそうです(これで日本のオケは売れなくなると思います。特にクオリティの下がったN響の23/24シーズン定期をやめて、ベルリン・フィルを聴く方はいると思います)。


1. ペトレンコ指揮 ベルリン・フィル

1位はなんと言っても、爆音スーパーオケのペトレンコ指揮ベルリン・フィルの初来日でしょう。ベルリンやザルツブルクでペトレンコ指揮のベルリンを20回ほど鑑賞しましたが、ペトレンコの指揮はスポーツマンのようにアドレナリン全開で(最近のペトレンコの黒い靴は、ほぼ運動靴です)、パワフルな指揮をします。それに応えるスーパーオケが圧巻です。本来はブラームスやベートーヴェンのチクルスを聴きたいですが、現地で完成していないのでチクルスの可能性は低いと思います。チケット代は前回の2019年のS席が43000円でしたから、今回は45000-50000円あたりかと思います。心配なのは、アバドやラトルはほとんどキャンセルしたことがないのですが、ペトレンコはキャンセルのリスクが高い指揮者です。21年12月のジルベスターや22年夏の欧州ツアーの一部公演、23年2月の定期演奏会はキャンセルとなり、シャニとハーディングによる指揮になりました。今回の日本公演は回数が多いので、体調管理をしっかりしていただきたいです。

(曲目予想)

・ブラームス: 交響曲第4番

・Rシュトラウス: 英雄の生涯

・シェーンベルク: 管弦楽のための変奏曲

・ベートーヴェン:交響曲第8番

・マーラー: 交響曲第7番

ほか

(予想評価)

★★★★★〜★★★★


2. ティーレマン指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

昨年12月に圧倒的名演を聞かせてくれたティーレマンさんですが、ドレスデンの音楽監督としての最後の来日公演です。特にティーレマンさんの十八番であるブルックナーは必聴でしょう。昨年の9月に現地ドレスデンでブルックナー聴いた時は最上席で€78(11000円)でしたが、日本公演のS席は38000円以上になるのでしょうか。

(曲目予想)

・ブルックナー: 交響曲第5番

・Rシュトラウス: 「薔薇の騎士」から

ほか

(予想評価)

★★★★


3. ウェルザー=メスト指揮 ウィーン・フィル

今年の元旦に素晴らしいニューイヤーコンサートを指揮したメストが来日公演しますが、これまでの来日公演では本領発揮していないので、曲目含めて注目です。指揮者が急遽、メストに決まったようで、曲目はまだ固まってません。今年のニューイヤー・コンサートのプログラムでやって欲しいですが、ウィーン・フィルの方針として、ニューイヤーコンサートと全て同じ曲目を海外ツアーではやらない方針なのが残念です。前回2021年のS席が39000円でしたから、今回は42000-45000円あたりになるでしょう。

(曲目予想)

・Rシュトラウス: メタモルフォーゼン

・R.シュトラウス:「ツァラトゥストラはかく語りき」

・Rシュトラウス: 死と変容

・ドヴォルザーク: 交響曲第8番

ほか

(予想評価)

★★★★〜★★

*過去のウィーン来日公演は、アカデミーなどのトラが多かったり、サボりが入る時があるので気をつけたいですね。ちなみに、2021年のムーティさんのハフナーとザ・グレードは★★でした。


4. ネルソンス指揮 ライプチヒ・ゲヴァントハウス

2019年5月の来日公演以来です。今年1月からのドラマ「リバーサル・オーケストラ」の冒頭のシーンのオーケストラです。前回はブラ5を取り上げてますが、ネルソンスがゲヴァントハウスと取り組んでいるブルックナープロジェクトのプログラムが中心となりそうです。昨年のボストン響以上の名演になるでしょう。私のブログの五段階評価で★五つや四つが出るのは、ここまでだと思います。前回2019年のS席が32000円でしたが、今回は34000-36000円あたりでしょう。

(曲目予想)

・ワーグナーの前奏曲など

・ブルックナー: 交響曲第7, 9番

ほか

(予想評価)

★★★★


5. ルイージ指揮  ロイヤル・コンセルトヘボウ

ルイージはN響で大活躍ですが、組み合わせ的にはあまり興味がないのですが、ソリストのブロンフマンの弾くリストには行くかもしれません。チケット代は2019年がS席33000円でしたので、今回は35000円-38000円くらいでしょう。

(曲目予想)

・ドヴォルザーク: 交響曲第9番

・リスト: ピアノ協奏曲第2番

・チャイコフスキー: 交響曲第5番

ほか

(予想評価)

★★★


【その他】

・シャニ指揮 イスラエル・フィル(11月)

イスラエル・フィルは2018年の来日がメータさんの病気で中止したので、2014年以来の久しぶりの来日です。シャニは6月にロッテルダム・フィル(諏訪内晶子vn, 藤田真央pf)と一緒に来日しますが、「世界一の弦」と言われるイスラエル・フィルの方が必見でしょう。シャニはミュンヘン・フィルに首席になることが決まっており、注目の若手指揮者の筆頭になりました。ソリストは庄司沙矢香さんと小林愛実さんとのコンチェルトがあり、この手の海外オケの来日公演は日本の著名ソリストとの共演ものが多い傾向がありますね。小林愛実さんは出産後の注目公演ではないでしょうか。

(予想評価)

★★★★〜★★★


・ギルバート指揮 NDRエルプフィルハーモニー(11月)

オケの本拠地・ハンブルク生まれのブラームスの交響曲第1番とピアノ協奏曲第1番のドイツものを堪能できると思います。ソリストは反田恭平さんで、彼が海外の超一流オケと日本で演奏するのは初ではないでしょうか。ブラコン1の第3楽章の終結部は特に美しいので楽しみです。

(予想評価)

★★★


・マケラ指揮オスロ・フィル(10月)

曲目は既に発表されてますが、この指揮者はほぼ毎回、日本でも欧州でも最後が盛り上がる有名曲を取り上げて、ガンガン音を鳴らせて、会場を沸かせる安易な指揮スタイルで人気が出ていると思っておりまして、あまりこの好みではないので、パスします(^^)。ソリストは辻井伸行。

(予想評価)

★★

*追記(2023.02.04)

3人の音楽評論家が今年の来日オケの見どころを語ってますが、お二人の方が、バブル的人気のマケラ推しをしています。

*追記(2023.04.04)

マケラ推しの音楽評論家は、ウィーン・フィルの来日公演はブルックナーと言ってましたが、どこの情報ですか?と言いたいですね。この人のことは、あまり信用できないです(^^)


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・内田光子 マーラー・チェンバー・オーケストラ(10-11月)

時間の余裕があれば、行きたいですが、モーツァルトとベートーヴェンのコンチェルトあたりでしょうか。

(予想評価)

★★★

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*5段階評価によるレビュー評価

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★; 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演

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かなり選定してコンサートに行くことにしてるので、★★と★の公演にはまず行かないと思います。


必聴の2023年11月のペトレンコ指揮ベルリンフィルの初来日公演にはコンマスの樫本さんも同行予定