〈あらすじ〉
500年前の因縁









刀夜は隠していた仕込み刀を取り出し、久木に向かっていき、斬りつけにかかる。が、久木は余裕の表情でそれを避ける。刀夜は間をあけずに次の一撃を加えるが、それも呼吸をするように躱される。それもスレスレの距離で。

刀「ちょこまかしやがって……!」

久「お前が遅いだけだ」

刀夜は今までの動きを失っている。冷静だった動きが急に動きが雑になってしまっている。明らかに隙が増えている。それに久木は今にもあくびをしそうな雰囲気だ。

修「こ、これ……刀夜に味方したらいいんだよな」

妹「まぁ、そうだろうな」

だけどなんだろう、味方をしてやりたい気はあるが、してはいけない気がする……それこそ、500年にわたる因縁を晴らしているわけだ。向こうから頼まれない限り、手出しをするわけにはいかない。これはあいつ自身の戦いだと思うからな……

そんなことを思っている間にも、刀夜は短刀を振り回している。どうやらもう一本隠していたらしく、刀夜は二本の刀を振り回している。しかし戦況は全く変わらない。刀夜のモーションが増えただけだ。

刀「ッ……クソがッ……はぁ……!」

久「どうした、もう終わりか。じゃあ今度は俺の番だ」

久木の目つきが急に変わり、刀夜に素手でラッシュを仕掛ける。修一には避けられるような動きじゃない。しかし刀夜は妖怪だ、ギリギリではあるが防いでいる。

久「まだまだこんなもんじゃないよな」

刀「クソッたれ……!!」

その時、刀夜と久木の足元に、どこからか飛んできた札が付着する。それに気づいた久木は攻撃を緩め、隙を見せる。刀夜はそれを見逃さなかった。すかさず久木に斬りかかる。

久「くっ……なんだこれは」

刀「ぐっ……この感じ、封印!?」

刀夜の刀は久木の首筋で停止し、ピクリとも動かなくなった。二人はその札の効力により身動きを取れなくなっていた。

香「修一さん!お待たせしました!助っ人です!」

修「香奈!助かった、ありがとう!霊夢も来てくれて助かる」

霊「本来巫女は妖怪退治が本業なのよ。別にあんたを助けるわけに来たわけじゃないわ」

香「うっわ~……ツンデr(ゴスッ)」

ニヤけ面だった香奈の頭を、霊夢がお祓い棒で叩きつける。割と鈍い音がしたが……そんな雑に使っていいものなのか?香奈も頭抱えて座り込んだし、相当痛そうだ。

霊「で、刀夜ってだれ?あの刀持ってるヤツ?」

修「妖怪退治が本業って言ったな、だったら二人とも妖怪だよ。刀夜は霊夢が言った通り刀を持ってるヤツだ」

その言葉に頷いた霊夢は、すぐさま別の札を取り出し、退治に向かう。

久「まったく、面倒なことをしてくれるな……」

霊「それはこっちのセリフよ。とっとと封印されなさい」

久「あいにく、自由を奪われるのは嫌いなんで……なっ!」

声に力が入ると同時に、久木達の元に貼られていた札が弾け飛び、その効力を失う。

霊「へぇ……さすがに雑魚ではないようね」

久「俺を雑魚呼ばわりか。実力も知らないでそんな口叩くんじゃねえぞ若造が」

久木は薄ら笑いを浮かべながらそう吐きすてる。言葉の一つ一つに、久木の力を感じる。

刀「俺を忘れてないか」

その言葉とともに、持っていた短刀で、背後から久木の腹を貫く。腹の刺し傷から血が噴き出し、それらが刀を伝って久木の足元にドロドロの血溜まりをつくる。

刀「油断……大敵……」

刀夜はゆっくりと刀を抜く。が、抜ける気配が全くしない。力を入れなおし、押しても引いても全く動かない。

久「どうした?早く抜けよ……!」

久木はそう言い、刀夜の腹に蹴りを食らわせ、近くの木に叩きつけた。

久「こんなので死ぬかっての……」

修「……嘘だろ」

久木は、刺さった刀を呼吸をするように、さらに奥に押し込み、そのまま貫通させて取り出し、血にまみれたその短刀を強く握った。鍔が存在していない、この短刀でしかできないことだった。

久「これぐらいの傷はすぐ治るんだよ、マヌケ」

まさかとは思ったが、よく見ると出血はすでに収まっている。服や腹が血でドロドロになってはいるが、傷口はどこにも見当たらない。

修「まさか……蓬莱人!?」

妹「いや、それはない。蓬莱人になるには、蓬莱の薬が必要なんだ。地上に持ち込まれた蓬莱の薬は、私が服用したもの、ただ一つだけだ。これだけは断言できる」

妹紅がここまで断言するなら間違いないだろう。だとしても、この回復力は異常という他ない。俺と同等の速度で傷が回復するなんて……

妹「まぁ、修一は例外だ」

修「ごもっとも」

……しかし、あんな奴相手にどう戦えばいいんだ

香「あの、私の能力……使えると思いますけど」

修「……そうか!その手が!」

妹「香奈の能力って……なんだっけ」

久「なにを喋ってるのか知らないが、お前らはとりあえず、準備運動がてら殺させてもらう」

久木が修一達に向かって短刀を投げつける。幸い誰にも当たらなかったが、修一達は一気に緊張の海に飲み込まれた。

修「今だ!香奈!」

香「合点承知です!」









〈あとがき〉
更新ペースがまばらになっていますが、失踪はしません。まだまだやり残したことが山ほどありますので。
早くオリジナルの小説更新しなければと思っているのですが設定に不具合が見つかって、そこを訂正すると他にも不具合が見つかり、それを訂正するとまた他にも見つかり……と連鎖が起こってしまって、正直滞っています。来年までに1話を投稿できればな……と思いますが。

さて、今回は霊夢の参戦でした。ですが、後半空気になってしまいました……さすがに6人同時出演は大変です……今度から出演メンバーは絞らないと……

次回もお楽しみに。