修「うらッ!」
ザンッ!
修「くそッ、やっぱ弾数多いな…」
刀を駆使して、霊夢に当たりそうな弾を斬っている訳だが、弾数がやはり多い…だが、なんとしても霊夢を守らなければ…そうしないと勝てない
修「今度はそっちか…!」
霊「修一、やってくれてるわね…なら私もやらないとね!」
香(擬)「へぇ、頭を使ったわね。一人が私に近づいて攻撃し、もう一人が近づいてくる弾を一つずつ撃ち落としていく…」
霊「独り言言ってられると思わないで欲しいわ!」
霊夢は香奈(擬)に、誘導弾(札)と霊弾を混合させた弾幕を展開する
香(擬)「私も、こんな程度で倒せると思って欲しくないわ」
香奈(擬)は迫り来る弾幕を縫うようにして避ける…が、誘導弾はその後も追いかける。香奈(擬)はそれに気づいていないのか、反応しない
霊「そこッ!」
パシッと、香奈(擬)の右手のひらに、全ての誘導弾が貼りつく
…いや、掴んだ
香(擬)「へぇ…これは封印かしら」
霊「えぇ、あんた、その札を掴んで私を動揺させようとしたそうだけど…それは逆効果ね。あんたは右手の自由を失った…それは戦闘力は下がったって意味よ」
香(擬)「…どうかしら?」
香奈(擬)が普通の弾幕を放つ
霊「ッ!(ここで普通の弾幕!?)」
動揺する霊夢だが、これは普通に避けられる…問題は、動かないといけないということだ…
霊(修一、頼むわよ!)
修(くそ、もう時間が…!)
って…香奈(擬)のヤツ、普通の弾幕を撃ちやがった!?
避けることには避けられる…ただ、霊夢は動かないといけないんだよな…なら、近づく弾を一つ残らず斬ればいいんだな?普通の弾幕は霊夢に避けてもらい、速い弾は、俺が斬る!
修「って、あと20秒動けるかわかんないけどな!」
焦るな、まだ20秒もあるんだ。それに、霊夢もこのスペルカードの効果がもう切れる事ぐらいわかってるはずだ。それまでに霊夢が仕掛けてくれれば…!
修「とりゃッ!」
ザンッ、ザクッ…
霊「(修一が居てよかった…おかげで仕掛けられる!)霊符『夢想封印』!!」
香(擬)「ッ!しまっ…」
カラフルな弾が香奈の周りを飛び交う。避けられないと悟ったのか、その場から動かない
ドオォォンッッ!
霊「…やった…?」
修「時間切れか…というか、霊夢!やったぞこれは!」
丁度のタイミングで、スペルカードが制限時間を迎える
霊「…そう…ね。やったわ!」
修一と霊夢が爆煙をバックに、歓喜の声をあげる
修「いや~良かった……ん?」
香(擬)「…ッ…!」
修「!」
香奈(擬)のヤツ、まだ動けたのか!霊夢は気づいていない…何か放ったようだが…まさか!
修「ッ!」
霊「…修一?」
バキァッッ
修「がアッ!??!?…」
霊「ッ?!」
背中を直撃する弾は、修一の体をへし折るのに充分な威力があった。そのまま修一は自由落下し、地面に落ちていく
香(擬)「へ…へへ…わ、私が…負ける…?そん…な…こと…みと…認め…ない…!」
霊「しし、修一…!」
修「僕は…死に…ま…しぇん…(ドサッ)」
霊「香奈…あんたが負けを認めなくとも、世界があんたの負けを認めてるわ!」
香(擬)「…だったら…この…世界を…壊して…やる…!」
霊「いい加減にしなさい!」
香(擬)「!」
霊「どうしてそんなに暴力的なの!?それを直に受けるこっちの身にもなりなさい!特に…修一の身に!」
霊夢と香奈(擬)は地面に落ちて動かない修一を見る
霊「修一は…私を庇って死んだの(死なないけど)」
香(擬)「…」
霊「とても怖い思いだったはずよ…そんな修一の気持ち…あんたに分かるかしら?」
香(擬)「…」
霊「これ以上…修一にそんな思いをさせないであげて…する方も、される方も、どっちにとっても、辛いから…」
霊夢はそう言うと、少し顔を下げる
香(擬)「…羨ましかった」
霊「…?」
香奈(擬)の声には、先ほどまでの気迫はなかった
香(擬)「私は作られてからずっと一人だった…作ってくれた張本人である修一さんさえ、私の存在を知らなかった…悲しかった…」
霊「それに…イライラしてたのね?」
香(擬)「違う…外にいる私への嫉妬…じゃないかな…あの私だけがみんなと仲良くやって、友達を増やしていく事ができる…でも…精神である私にはそれはできない…だから…羨ましかった…」
そういうと香奈(擬)は、涙を見せる
香(擬)「あと…」
霊「?」
香(擬)「香奈擬って…やめて…」
霊「」
紗「私には、『蜜坂 紗恵(みつざか さえ)』って名前が…」
霊「」
修「…うッ…ガフッ…!」
目を覚ましてすぐに吐血する修一…ダメージが相当だ。さっきまでの修一は、ガラケー状態だった。つまり、後頭部に足の裏が付くような形になっていた。海老反りの極みだ。呑気だなオィ
まあもちろん、自然回復に伴って治っていってるから、今は通常の体勢になっている
修「…今日だけで…2回…死んだよな…?」
…蓬莱人は死なないからいいけどさ…なんていうか…自分の身を案じないようになるな
紗「外に行きたい…友達が欲しい…」
霊「なら、香奈に体を借りれば…」
ううん…と、紗恵は頭を横に降る
紗「私が香奈の体を借りられるのは、なぜか香奈が怒った時だけ…その時には、必然的に体が借りた事になるわ」
霊「自由に行き来できるって訳じゃないのね」
紗「うん…私は精神だから、現実には肉体が存在しない…精神がない肉体に私が入り込めば…その時からは自由になれるのに…」
霊「…なら、修一に頼みなさい」
紗「?」
霊「あいつが香奈を作ったんでしょ?なら、修一にあんたの体を作ってもらえばいいじゃない」
紗「!!」
霊「でもあんた、香奈の精神なのよね。あんたがもし修一の作った肉体に移れば、香奈の精神はどうなるのかしら」
紗「問題ないわ…香奈は『怒り』が抜けている人間だから…だから、『怒り』そのものである私が抜けたところで、何も変わらないわ…もしかしたら、人と関わるうちに、その怒りというのを手にするかもしれないけど…」
霊「なら問題ないわ。修一が回復したら、即行で肉体を作ってもらって、移って、外に出て…自由を得る。完璧」
紗「…嬉しい…って、こういう…事…なのかな…」