修「…待った」
香「え?」
団子屋を目の前にし、修一は香奈を止める
香「どうしたんですか?」
修「さっきの団子は、魔理沙のご好意で奢ってもらったが…」
香「あ…まさか」
修「…お金がない」
香「うわぁ~…」
やっべー、マジやべぇわ、これマジやべぇ、お金がないとか生きていけないってやべぇわこれどないしょこれ…
?「あ、こら!勝手に行動するんじゃない!」
修「ん?」
なんか…子供3人があの人から逃げてるのか?いや、その後ろに数10人がその場で留まってる…明らかに不自然だ。ってことは、子供を追いかけているのは…先生?野外学習にでも来てるのか?まあ仮定だけど…
あ、これはまさか、『手助けしたらお金がもらえるパターン』ってやつか?ものすごく卑しいけど、捕まえるの手伝ってみようかなー…
子供1「わはは!せんせぇこっちだよー!」
先生「あ、こら!店に逃げ込むな!」
って、あの子…この店に逃げ込む気か?よし、捕まえるか!
子供1「やーいやーい!せんせぇ足遅…」
ガシッ
修「捕まえた!」
走ってきた子供の背中を追いかけ、腕を軽く拘束して、上に持ち上げる
子供1「えッ!?誰!?せんせぇ、助けて!」
足をバタバタさせて、必死に抵抗する子供
先生「お前、私の可愛い教え子に何をする!」
修「ちょ、だ、だって、逃げてたから捕まえてあげただけじゃないですか!」
ん…ちょっとまて、この人何処かで…あ、ああ!確か妹紅の家にいた時に…!
修「慧音さんですか!あなた!」
慧「その子を離せェッ!」
ガシッ
修「え」
頭を鷲掴みにされる
子供1「やば…!」
子供が動けないなりに頭を下げる…ってなんで?
慧「ふんッ!!」
ゴチィィインッッ!!
修「がはぁぁぁあッ…」
ドサッ
腕から子供が離れ、先生…慧音の足につかまる
修「いや…だって…この子…逃げてた…から…」
慧「…え」
修「だから…手伝おうと…した…だけ…なの…に…」
香「ありゃ~…」
慧「いや、その…すまなかった」
子供達に野外学習をさせていた慧音さんの頭突きを喰らって倒れこんだ俺は、慧音さんに運ばれ、野外学習の最終ポイントである、原っぱにいた
修「いや…その…俺も誤解招くようなことして…すいませんでした…」
額を真っ赤にして、修一は答える
修「…ごめんね、急に捕まえたりして」
子供「ふん、まあ今回は大目に見てやるよ」
ぐ…こいつ…いやまて、この子は小2ぐらいの身長だ。歳もそんなにないだろう…怒ったら大人気ないぞ
香「ほ~ら、鶴の完成♪」
香奈はというと、子供達の相手をしてくれている。なんていうか、超お姉さんだな
子供(女1)「わ~!お姉ちゃん折り紙上手だね!」
子供(男1)「すっげ~!」
子供(男2)「お姉ちゃん、俺にも折り方教えてくれよ!」
香「ふふ、いいよ!いい?まずは紙を三角に折って…」
子供達「ふむふむ…」
やっべ、超人気じゃないか…あれ?なんだろ、この羨ましい感じは…いやいや、そんなことよりもだ!
修「…なんで頭突きなんですか…まだ頭がガンガンするんですけど…」
脳震盪とか…起きてないよな?いや、起きてたら病院送りか…あれ、ここって病院あったっけ…あ、確か永遠亭ってのがあったな
慧「いや、つい、癖が出てしまって…」
おいおい、癖ってなんだよ、癖になるぐらい頭突きしてるって事かよ。誰にだよ。まさか生徒とか言わないよな
慧「えと、確か名前は、暁 修一といったかな?」
修「はい…って、なんでそれを?」
まだ自己紹介もしてないぞ?というか、会ってまだ1時間もしてないぞ
慧「あぁ、これで知ったんだ」
慧音がポケットから何かを取り出し、ぴらぴらさせる。とりあえずそれを受け取る。…新聞だった
なになに…?文々。新聞?…って、一面が俺じゃないか!!だ、誰が作ったんだ…あれ、まさか…
文って…なんか、俺にインタビューしてたよな、まさか…
修「…えと、文々。新聞を作ってるのは…誰ですか?」
慧「ん?あぁ、確か…射命丸といったかな…」
文じゃねぇかぁぁあああ…もういいよ!文のインタビューは、時々しか受けてやらねぇぞ!
慧「あの時は咄嗟に頭突きをしたから、君の顔までははっきりと見ていなかったが…しっかり見てみると、あの異変の元凶っぽい存在だったとはね…」
なんだよ、っぽい存在って…まあ、確かにそうだけど…
慧「とりあえず文々。新聞には、修一のことについてたくさん書かれていてね、基礎的な事は頭に叩き込んだつもりだ」
…俺のプロフィールを覚えたところで、受験とかには出てこないぞ。というか、基礎的な事ってなんだ、基礎的な事って。あれか、幻想入りしたってことぐらいか?
修「…」
慧「…」
やべ、無言の空間になっちゃった…無言の空間って、得意じゃないんだよな…
修・慧「あの…」
ぐ…一番気まずい雰囲気になってしまった…かぶるとか本当に嫌い
修「あ…どうぞ」
慧「ああいや、私が話したい事は、とても自分勝手だからな…」
修「…いや、そう言われるともっと気になります」
もし、もしだぞ?一目惚れとかだったら、超うれしいんだけど、まぁまずあり得ないけど
慧「そうか?…なら言わせてもらおうかな…」
修「うん、どうぞ」
慧「…実は、次の授業で子供達に外の世界について教えてあげたくてだな…そこで」
修「俺に外の世界の事を子供達に教えてやってほしいと…」
慧「先に言うな…まあ、そういうことだ。わかってくれて助かる」
確かに…幻想郷の人々は外の世界を全く知らない。だから、外の世界の事を伝えようにも伝えられないのが現実だ…だが、外の世界からやって来た人間なら、幻想郷にその事を教えることができる…という事か
修「あれ…じゃあ、あの東風谷でもいいんじゃ…」
慧「東風谷?…ああ、妖怪の山の巫女か。いや、彼女でもいいんだが…多分、男子が一目惚れして、授業どころじゃなくなると思ってね…」
修「…慧音さんには一目惚れしないんですか?」
…まて、今適当に返答したけど…これ、かなりやばい事言ったんじゃ…
慧「ん?ああ、子供達はそれほどでもなかったが、子供達の親が一目惚れしていたな」
修「なるほど」
…いや、どうでもいいか
慧「で…授業をやってくれないか?」
修「そうだな…そうだ、友人も一緒に参加させてもいいですか?あいつも幻想入りしてここに来たんで」
慧「ん?…ああ、構わないよ」
修「ありがとう、んじゃ、早速誘ってきます。香奈、ちょっと出かけるよ」
子供達と折り紙で遊んでいる香奈を呼び戻す
香「は~い」
子供(女1)「えー?帰っちゃうの?」
子供(男1)「えー、もっと遊びたかったな…」
子供(男2)「あー!お前香奈姉ちゃんの事好きなんだろ!」
子供(男1)「ちち、ち、違うよ!たとえ好きだったとしても、香奈姉ちゃんには、あの修一兄ちゃんがいるじゃない!」
香「大丈夫、確かに私は修一さんが大好きだけど、みんなの事も大好きだからね?」
…はい?
子供達「やったー!」
修「…今、なんか…凄いことが聴こえたような…え?え?俺…え?」
香「修一さん、行きましょう?」
慧「随分と熱々だな。」
修「う、うるさい!」
慧音は小さく笑いながら、手を振る
慧「修一、その友人との授業、楽しみにしておくぞ」
修「ま、まあ…任せてください」
友人というのはもちろん、夜籟の事だ
そして、修一と香奈は、迷いの竹林めがけて飛び始めた