作戦開始からだいたい2時間が経った。さっき、初めて見る妖怪がここに3体ほどよってかかってきたが、あっさりと追い払った。
ここを通すのは、俺を負かしたヤツか、霊夢とか、魔理沙とか、そういう主要メンバーぐらいだ。主要メンバーぐらい、雰囲気でわかるだろうし…主要メンバーの強さなら、冷斗ぐらい普通に倒せるだろう。
…そう考えたら、さっききた3体ほどの妖怪は、多分冷斗をスルーしてるだろうな、あんな弱さでここまで来れる訳がないり
「…にしても、」
空を見上げる。
「この雨はねぇよ…」
さっきまで晴れていたと思ったら、突然の雨。全身びしょ濡れだ。明日風邪ひくかも…
「…紫、お前を呼び出す為の異変だ。素直に出て来いよ…」
天気が雨から雪に変わり、吹き荒れる吹雪の中で修一はつぶやいた。
…顔痛い。
「来た…あれは…」
あの巫女姿は間違いない。
「へぇ、あんただけ冷斗ってヤツと違うみたいね?」
「ああ、俺は暁 修一だ。」
「あら、素直に自己紹介するのね。私は博麗 霊夢。覚えておきなさいよ?」
「…俺は知ってたけどな。おまえのことを。」
「え?」
3年前のことなんて、知るわけもないよな。
「やるならとっとと始めるぞ、霊夢ッ!!」
先攻したのは修一だった。霊夢めがけて霊弾を放つ。
「ッ!」
《能力を創る程度の能力》が使えなくなった以上、楼観剣と白楼剣は使えない。というか、あれは対冷斗用のものだし、別にいいか。
「流石だな霊夢、あのレミリアを負かすだけの事はあるな。」
「なんで知ってるのよ!?」
「俺は3年前にここに来ている。もちろん霊夢にも会った。まあ、時間を遡った訳だし、覚えてるわけないけどな。」
ますます訳がわからない…といった感じの霊夢。
なぜだろう、自分から戦いを望むなんて、今まで無かったのに…まず戦いを好まない俺なのに…なんかものすごく楽しい…
まさか俺ってSだったのか?
「春符『散りゆく桜』ッ!!」
弾で形成された三本の『木』がそびえ立ち、弾でできた桜の花を咲かせる。
「…綺麗ね。」
「油断してたら怪我するぞ、霊夢。」
そう、この桜の花は、今から散る。そして、その花びらすべてが弾、弾、弾。避けなければいけない。
「くッ…!」
「一発一発は低速だ。だが、数と密度、不規則な動きは避けにくいぞ。」
霊夢は不規則な動きをする弾幕に苦戦している。
「…さあ、俺を倒すんだろ?俺は全力で霊夢と戦ってやる。」
桜がすべて散る。
「終わっ…た?」
「まだだ。」
残った木が弾となって再び散る。ただ、これは先ほどより密度、スピードがあるが、規則的な動きをする。
「くっ、使いたくはないけど…!」
スペルカードか!
「霊符『夢想封印』!!」
霊夢がカラフルな弾をこちらに向けて大量に撃ってくる。
「妹紅から教わった事…今なら使えそうだ!!」
修一に、霊夢の放った弾が全て命中し、煙が漂う。
「何よ、直撃じゃない…」
煙がなくなると、修一の姿は消えていた。
「…消えた?」
霊夢が焦った、そのときだった。
「リザレクション…と。」
桜吹雪の中から、修一は姿を表した。
「嘘ッ!?あんたまさか、妹紅と同じ…」
「そう、蓬莱人だ。」
「…まためんどくさいヤツが相手ね!」
「ここからは、耐久戦だ!!」
こっちのスタミナがきれるまで戦ってやるよ!
「紫は急にどこかに行ったし、私には時間がないのよ!!」
「はぁッ!?それ本当か?!」
紫がいないなら、この計画は成り立たないぞ!!
「そうよ!私には時間がないのよ!!」
「そっちじゃなくて、紫がどこかに行ったって本当か!?」
「そうよ!気がついたらいなくなってたのよ!!」
「そんな…」
弾幕を撃つのをやめ、頭を抱える修一。
「おいおい…やってらんねえ…」
「…?紫がいないと何か大変なのかしら。」
「うん…まあ…」
畜生、あのスキマ妖怪め…ほんっとに神出鬼没だな…お前がいないと結界の設定が変えられないじゃないか…
「…あんたまさか、紫の事が好「そうじゃなくて。」
畜生、どうしたら紫を呼び出せる…?
「どうしたのよ、戦わないの?男のくせに。」
「…そうだな、まずはこっちが先だ。」
紫に関してはあとで考えよう。
「俺はまだまだやれるからな…」
修一は今一度、やる気を出し、霊夢に顔を向ける。
「まあ、雨に打たれながら言うセリフじゃないわよね?」
「やめろ、緊迫感がなくなる。」
「リザレクション…って、いう意味あるかな…」
「緊迫感なくなるわよ!?」
「…ごめん。」
修一は2回目の死を迎え、復活していた。
「よし…こうなれば!」
「ッ!何!?」
「これが破られたら…」
スペルカードを懐から取り出し、構える修一。
「俺の負けだ!!」