「修一!」

空を飛んでいる時、自分を呼ぶ声が聞こえる。って…あの声は…!

「リリカ!!」

プリズムリバー三姉妹の…えー…何番目だ。三番目だっけ…

「何もする気力が沸かない。」

「クソッタレーッ!!ちくしョーッ!!」

「修一、ちょっと敵討ちをお願いしても…いい?」

「どうした?って、なんでそんなにボロボロに…え?」

ボロボロ…?

「なぁ、敵討ちして欲しい理由って、喧嘩か何かふっかけられたのか?」

「えぇ、全くその通りよ。なんなのよあいつ…それで、私たちを倒したかと思うと、そのまま冥界に…」

「今この状況でそんな事をするヤツは…」

まず霊夢が出てきたが、今は別の所で捜索をしているはずだから、霊夢ではないはずだ。それ以外なら…

「冷斗か!!」

「あのヤローッ!ぶっ潰してやるーッ!!」

メルランはこんな時もハイテンションだな…

「もう…めんどくさくなってきたわ、私…寝ていいかしら。」

ルナサはイメージ通りだ…なんで寝るんだよ。

やっぱり、リリカが一番まともなのか!?

「まて、冥界…?まさか、白玉楼に!?」

「そうでしょうね。」

「そんな…」

どうする…と思うが、今は見えない敵を倒しに行くより、見える敵を倒しに行く方が考え方としては正しいだろう。

「…よし、俺がそいつを潰してくる。」

「わかった。」

「仇をとってきてーッ!!」

「わかった!!」

三姉妹の教えてくれた通りに冥界に行く修一。冥界のある所までの距離は割とあるが、今回はさらに遠く感じた。

「急げッ!!」


























「あった!!」

結界で遮られているはずの冥界と地上の世界…だが、その結界はガラスのように割れている様に見える。

修一はさらに加速し、白玉楼を目指す。

























「ッ…お前、さっきから同じ技ばっかりしても、勝てませんよ!!」

斬りかかりに行く妖夢。妖夢の目の前には、冷斗が。

妖夢達は地上で戦っている。

するとヤツは『また』どこからともなく電気を発生させ、雷のようにして妖夢を攻撃する。

「同じ技は二度と喰らわない!!何度言ったら分かるんですか!!」

ヤツはさっきから同じ技ばっかり使う。

「嫌なら、ちょっと変えてやろうか?」

突然、雷が止む。

「もらった!」

この隙に妖夢が冷斗に斬りかかる。

「はッ!」

妖夢が目の前に来た時、冷斗が小さく笑うと、妖夢に変化が起こった。

「ッてうわわわわ!!」

足が滑り、こけそうになるも、なんとか体制を立て直す。

「今のは…?」

「よっ。」

「え、うわッ!!」

突然、妖夢の手から楼観剣、白楼剣が落ちる。拾おうとするも、なぜか取れない。確かに触れているのは触れている。だがつかめない。

「何が…きゃッ!」

足を滑らせ、横転する妖夢。

「さてと…俺はもっと強いヤツと戦いたいんだ。お前じゃダメだな。」

「貴様…!!」

「じゃあ、俺と戦うか?」

突然別の声が聞こえたからか、しばらく立ち尽くす冷斗。

「誰だ?」

「俺だ、修一だ。」

「…修一さん?」

冷斗と妖夢の目に映ったのは、二本の刀を持った修一の姿だった。

「おい冷斗、もうやめろ。」

「やだね。俺は強いヤツと戦いたいんだ。」

「だったら俺が勝負してやるよ。」

修一は冷斗に挑発する。正確に言えば、攻撃対象を妖夢から修一に移そうとしていた。

「…そうだな、こいつよりお前の方がなんか強そうだもんな。」

「それより、なんで地上戦なんだよ。空中戦の方がいいだろ。」

「とっちでもいいさ。お前が強けりゃいいんだからな。」

そう言って、冷斗はこっちに歩み寄ってくる。

「二刀流って…さっきのヤツみたいだな。」

「そりゃ、妖夢を見て真似てるつもりだからな。」

その言葉を聞いて、冷斗は笑う。

「真似てるつもり?そんなんじゃ、あいつより弱いだろ?」

「なめてると怪我するぞ。」

「怪我させるほどの腕があればな!」

すると冷斗は修一に手をかざしたかと思うと、左手に握っていた白楼剣が滑り落ちる。

「ぅおあッ!?」

刀が落ちたのだ。足を切ったり、刺さったりしたら大変だ。いや、それ以前に、なんで落ちたのかが不思議だが、それは冷斗が関係してそうだ。先ほどまでしっかりと握っていたのにもかかわらず、落ちるなどあり得ないのだから。

とりあえず拾う。

「ッて、あれ?」

滑って全く取れない。

「もうそれで十分だろ?そこの庭師にも、同じような事をしておいた。」

妖夢も?妖夢は一本でも十分強そうなのだが、俺はどうなのだろうか…

「ま、まぁ、い、一本になった分動きやすくなったよ。」

負け惜しみだぞ、俺。

「んじゃ、とっとと始めるぞ!!」

すると、地面が揺れる。地震だ。

「な、なんだ!?」

その瞬間、修一の足元には亀裂が走り、亀裂を境に地面が上下盛り上がる。

「うわッ!!」

そしてそのまま修一は空を飛ぶ。

「お前、能力はなんだよ!?」

さっきから刀が滑り落ちたり、地震を起こしたり、訳がわからない!!

「んなもん、言うか!!」

そうすると冷斗も宙を浮き、雷で攻撃してきた。

「ッ!なんなんだよ全く!!」

とにかく、雷はさすがに斬れないので避ける。数も多くはない。

「言っとくが、これ全部俺の『一つの能力』で起こってるからな?」

「何ッ!?」

魔法じゃないのか!?さっきの雷も能力だと!?

「次はどうだ!!」

そう叫ぶと同時に、冷斗は服の中から何か『粉』のような物を取り出し、振りまいた。

「これは小麦粉だが、今から何をすると思う?」

「何をするつもりだ?」

「こうするつもりだ!!」

その瞬間、漂っていた小麦粉がいきなり爆発する。粉塵爆発だ。

「ぐあぁッ!!」

途轍もない爆風に、地面に叩きつけられる。

「ぐはッ!!」

「へッ…たいした事ねぇな。」

そうやって、嘲笑う冷斗。今回の冷斗は、確かに強いぞ…