「…お前、蓬莱人になった以上、死なない。これから人間関係とかどうすんだ。」

酔いから覚めた修一(蓬莱人だからか、酔いもすぐ覚めた)に、妹紅は問いかける。

「…この世に蓬莱人は何人ぐらいいるんだ?」

「ん?まず私…そして永琳…引きこもりお姫様…あと、月にいるっていう嫦娥…そして、お前。計5人だ。」

「ちょっと待て。引きこもりお姫様ってなんだよ。」

すかさず突っ込む。

「なんだ、永遠亭に行ったのにもかかわらず、あいつにもあってないのか。」

「あいつ?」

「蓬莱山 輝夜。」

「輝夜…?」

聞きなれたワードに、反応する。

「輝夜って…あの、かぐや姫の?」

「あぁ、そうそう。そいつの事」

えぇぇぇええ⁉と、驚愕する。ま、それが普通の反応なのだろうが。

「あ、あれって、おとぎ話じゃ…」

「リアルな話だよ。少し内容が違うがな。」

ま、まぁそれはおいといて、あのかぐや姫が…マジかよ…となる。

あ、確か霊夢、かぐや姫をぶっ飛ばしたとか言ってたけど、そういうことか…

「で、本題に戻るぞ。人間関係とかどうすんだ。」

あ、そうだった…と思った。

「ま、妹紅は常に隣にいて欲しいぐらい頼りになるからな…頼りにしてるよ。」

ただ一つ困ることは、酒を飲まされるという事だけだ。

「そ、そう、か…」

顔がほんのり赤くなる妹紅。なんか、似合わないというか…

「…どうした?」

修一から少し顔を背け、少し笑顔になる。そんな妹紅に、修一は問いかけた。

「あ、いや、人から頼りにされるのは、以外に照れるな…と思ったんでね。」

そういう事か。と、相槌をとる。

「でも、家はどうすんだ。外の世界には訳ありで戻れないと、何処かで聞いたぞ。」

いつ聞いたんだよ。と思うが、突っ込んではいけない気がする。

「まぁ、同居ってのはお互い大変な事になるだろうから、家は迷いの竹林に構えさせてもらうつもりなんだ。人里だと色々迷惑だろうし、博麗神社に居座るのもあれだし…」

「そうだな…なら、隣にでも構えとけ。まだここに慣れてないだろうし。」

「…そうさせてもらおうかな。」

簡単に言った修一だが、

「あ、問題が一つある。」

「え?」

「ここの竹は、そんじょそこらの竹とは違う。普通、竹は切るとどうなる?」

唐突な質問に戸惑う。

「えと…切れる。」

「そこからどうなる?」

「…また伸びる?」

「どれぐらいの時間がかかると思う?」

「…2,3年?」

そうだよな。と、妹紅は確認をとる。

「だがここの竹は、切ってもまたすぐに伸びるんだ。めまぐるしい勢いで生え変わるしな。」

「へー…じゃ、根っこから切ればいいんじゃないか?」

根っこさえなくなればこっちのものだと思うのだが…

「まぁ、根っこから消せば、生えてくる事はなくなるな。」

「なら簡単だ。俺が魔法で消しさればいいんだろ?」

「ま、そうだな。」

なんだ、簡単じゃないか。と思った。









「でも、もう夜だし、明日いろいろやるぞ。」

妹紅に言われてはじめて、今が夜ということに気がつく。

「ほんとだ…あ、晩飯。晩飯は…さっき焼き鳥食ったし、いいよな。」

「ま、蓬莱人には関係ないがな。」

ははは…と、笑う。

「あ、そうそう、布団の枚数なんだが…」

「え?」

「押入れをよく見てみたら、もう一枚見つけたんだ。」

ふーん…と思う。

「ということで、ここに布団を2枚敷いてと…」

「うん…」

最初はその言葉に違和感を感じなかった。

「…ん?」

実際に布団を2枚敷くと、それはわかった。

「ちょ、隣同士⁉」

「当たり前だろ、何言ってんだ?この家は狭いんだし、私は最近肌寒くなってきたし。」

いや、当たり前って…妹紅は恥ずかしいと思わないのか⁉

「よし…じゃ、私は先に寝るな、お休み。」

「…お休み。」

妹紅が布団の中に潜り、あくびをする。

「…俺も寝ようかな…でも…これは…」

妹紅は、修一が寝る布団の方を向いて寝ている。

「…」

ゆっくりと布団に入り、妹紅と目を合わさないようにして寝る。

「お休み…」

今日は別に動いた訳ではないが、なぜかこの日はとても眠く、すぐに寝付くことができた。

寝付く前に思ったが、人間関係の件、解決できてないじゃないか。まぁ、それはまた考えておくとしよう…