さぁ、今妹紅の家で、寝ておりますが、いろいろあって、全く眠れません。


というのも、これだけ訳わかんない目にあっていれば、脳が整理しきれない。


・・・まだアニメとかよく見てたから、ある程度の理解力はあるけど。




昨日の晩、ついでと言った感じに、慧音は教えてくれた。




ここは幻想郷。


博麗神社という神社があり、そこはなんか重要な場所らしい。割とみんなが知ってる場所。


たま~に異変が起きる。・・・異変ってなんだ?と聞くと、『異変は異変だ。それ以外のなんでもない』とかえってきた。えー…


幻想郷と外の世界をさえぎる、博麗大結界というものがある。普通に超えるのは無理難題。外の世界の常識を、こちらの非常識にすることで、遮ってるらしいけど…細かくは覚えてない。だって、慧音しゃべるのが以外とはやいもん。


えー、ここには能力を持った人、妖怪がいる。『どんな能力かは、自分の目で確かめて。すべて話すには割と時間がかかるし。』とのこと。


妖怪、神、魔法使い、吸血鬼、天人、その他いろいろ住んでいる。


里の人間を除くと、ほぼ全部が女性。修一、よかったな!と妹紅に言われたが、嫌味にしか聞こえない。『えっと、香霖堂の店主は男だ。安心して。』とのこと。香霖堂?




・・・という具合。




『え?じゃぁぼくが今ここにいるってことは、だいぶおかしいんじゃ・・・』




『そう。あなたは大結界を普通に、難なく通り越した。そして、博麗神社から幻想入りしたのにもかかわらず、この迷いの竹林にそのまま来た。』




『おい、慧音、これって、あいつだよな・・・』




『紫・・・なのか・・・やっぱり・・・』




『なぁ修一、その、なんだ、外の博麗神社に、誰かいたか?』




『ん~と、たしか、八雲 紫って言った妖怪がいました。その後、落とされました。』




『・・・やっぱり。』




『紫なら、結界なんて物、効かないものね。』




『あの、それってやっぱり何かの能力なんですか?』




『えぇ、紫の能力は、境界を操る程度の能力。』




『境界・・・境目ってことですか?』




『う~ん、大体はそうかな。ただ、物理的な境界以外の境界も操るらしく、夢と現実の境界を操ることも出来るらしいし・・・他人の夢に入ることも出来ちゃうのよね。』




『うわっ。まじですか。』




『えぇ、この幻想郷では最も力のある妖怪だと思ってもいいと思うわ。で、あなたが幻想入りした理由だけど、恐らく、いや、絶対紫が、境界を操って、修一、あなたをここに連れてきたのよ。』




『なるほど・・・あれ?それじゃぁ・・・』




『わかる?その意味。』




『俺、、その人に頼まないと、帰れないってことですか!?』




『そう。』




『そんな・・・』




そんな事がつい2~3時間前にあったというのにもかかわらず、よくこんなにも呑気に寝てられるな、俺。


・・・横を向く。妹紅が壁に寄りかかって寝ている。


妹紅いわく、不老不死だし、大丈夫。とのこと。


最初は拒んだが、じゃぁ一緒に寝るか?といわれ、鼻血が出た。すぐ収まったけど。


慧音さんのフォローがなければ、かなりやばかった。


そういうのだめなんだよ、俺。ありがとう、慧音さん。



んー、なんか・・・まぶたが重い。

・・・あ、やばい・・・眠くなってきた・・・


















鳥の鳴き声が聞こえる。


空気が異常に気持ちいい。


目を覚ます。えっと・・・今何時だ?


・・・時計が無い。あ、そうだ。ここは家じゃないんだった。


たしか・・・えぇと、幻想郷か。


んでここが、えっと、妹紅の家。

むくっと体を起こす。腕を伸ばし、目を覚ます。

あれ?妹紅がいない・・・

手に何か暖かい物があたる。

あ、妹紅の手か、なんだ・・・俺の横で寝てたのか。














・・・え?




「ぶふぉあ!」




「・・・む・・・朝から元気だなぁ・・・」




朝一の声がぶふぉあ!って叫ぶなんて、人生で初めて経験するよ。


あぁあ。ここに来て三度目の鼻血。外でもこんなに出たことないぞ。


・・・血が布団についてない。奇跡だ。ほんとに奇跡だ。


でもまぁ、鼻血ぐらい、すぐに治るはず・・・




「・・・あれ?」




「う・・・よっと・・・ん~~っ、よくねた~。おはよう。」




「あ、おはよう。」




「ははは、朝一から鼻血か。愉快だな。やっぱお前はいじり甲斐があるな。見越した通りの人間だ。いや、最高だよ。」




「愉快じゃないよ・・・って言うか、なんかおかしいんだけど・・・」




「ん?何が。」




「鼻血が・・・すぐに止まらない。」




「は?なんで?お前の能力は確か怪我がすぐに治る程度の能力・・・」




「・・・ですよね。・・・なんで・・・」




おかしい。俺の能力は怪我がすぐに治る程度の能力なんじゃ・・・・・・




「あ!」




「びっくりするな。なんだよいきなり。」




「外の世界では・・・怪我はすぐに治らなかった・・・」




「え・・・?じゃぁ、何で昨日はすぐに治った?」




「さ、さぁ・・・」




「あなたたちの考えた能力自体が間違ってるのよ。」




「うわっ!」




「ゆ、紫・・・全く、お邪魔しますぐらい言えよ・・・」




「あら、ごめんなさい。ちょっと気になったから。つい。」




ここで胡散臭い紫さんが登場。


一体何のようなんだ・・・もう、この人怖いんだけど。




「この子の能力は、怪我がすぐに治る程度の能力じゃないわ。」




「え?違うのか?」




「えぇ。ちがうわね。」




「じゃぁ一体何なんだよ。こいつの能力。」




「そうね・・・言うなれば・・・“他人の能力を真似る程度の能力”・・・って所かしら。」




「他人の・・・?私とかか?」




「えぇ、昨日、この子をしばらく観察してたの。」




「み、見てたんですか・・・」




「えぇ。こんな感じに。」




紫がおもむろに空間を開ける。


・・・あ。落ちたときに見た光景と一緒だ。目がいっぱいあったり、道路標識があったり・・・




「つまり、そのスキマからのぞいてたんだな。」




「えぇ。楽しませてもらったわ。」




「は、ははは・・・」




「さて、本題に移りましょう。修一、あなた、昨日の晩だけ不老不死になっていたわ。」




「えっ!?」




「何?・・・まて紫、お前確かさっき、他人の能力を真似ると言ったな・・・?」




「そう。修一は妹紅の、老いることも、死ぬことも無い程度の能力を、昨日の晩だけ真似ていたのよ。実感はないでしょうけどね。」




「なるほど・・・でも、何で昨日の晩だけなんだ?」




「時間切れってとこかしら。あとは、能力の取り消し・・・といったあたりかしら。」




「能力の取り消しってどういうことなんだ?」




「パソコンで言う、シャットダウン的な感じね。」




「・・・それなら心当たりがあるな。えっと、それを起動する感じにすれば・・・」




「いけるかもね。やってみたら?」




イメージする。


あの空間を。




「うっ・・・」




「おい、修一!またかよ・・・」




「・・・大丈夫・・・」















うまくいったのかどうかは分からないが、謎の白い空間に行くことは出来た。


・・・やっぱり台がある。


・・・妹紅のカードも。


あ、なんか表示されてる・・・


えっと・・・




カードの内容を更新しました。 


更新内容・・・能力の内容を、不老不死から、老いることも、死ぬことも無い程度の能力 に、変更。




・・・なるほど、それだけか。


もう一度、手に取り、台に入れる。




・・・この能力を使用しますか?


  イエスorノー




・・・ここはイエスだろ。




・・・能力を使用します・・・この能力はインストール済みです。十秒後に使用開始します・・・




ドンッと扉が現れる。


もちろんそのまま突き進む。




・・・・・・










「う・・・」




「あ、帰ってきた。」




「あら、お帰り。」




「た、ただいま・・・いててて・・・あ。」




「どうした?」




「なぁ妹紅・・・鼻血・・・止まってる?」




「・・・あぁ。」




「分かった?これで。その能力が。ただ、その能力、ちょっとした決まり事があると思うの。」




「決まり事なんてあるんか・・・」




「何なんだ?その決まり事とやらは・・・」




「まず、他人の情報を得ることが必要。あなた、妹紅以外能力使えないでしょ。」




「えと・・・」




振り返ってみる。


よく考えると、妹紅以外の台は無かった。




「使えないな。」




「やっぱり。」




「っていうか、何で分かるんだよ?」




「私の能力・・・知ってる?」




えっと・・・確か、いろいろおかしい能力だったよな、えっと・・・




「境界を操る程度の能力・・・だったっけ。」




「正解。かしこいわね。」




「って言うか、それがどうかしたのか?」




「あなたの頭の中の世界に能力を使って、見ていたのよ。すぐばれると思ったけど、そうでもなかったわ。」




「・・・ほんとに、なんでもありだな。」




「そこで、カードを見たの。」




「それが知っている理由か。」




「まぁそんなところ。」




「・・・で、他人の情報を得る・・・これってどういうこと?」




「まぁ、どういう仕組みなのかを理解する・・・って所かしら。」




「・・・設計図みたいな感じか?」




「おおむねそんな感じ。他人の設計図・・・システムのようなものと、その内容を理解し、それを自分の体で使う。すると、その能力が使える。ただし、システムの一部が分からない、内容が詳しく分からない、などの状態で使うと、若干危険なんじゃないかしら。」




「・・・俺、昨日その状態で使っちゃったんだが・・・」




「昨日、何かあった?頭がずっと痛い、腕があまり上がらない、あまり眠れないとか・・・」




「あ、昨日の晩、あまり寝れなかったな・・・」




「それ、多分だけど能力の副作用ね。恐らく能力によって、副作用の内容が違うかもしれないわ。」




「能力によるか・・・」




「ってことは、今までの話を聞いたところ、修一は、私の設計図を見て、理解したってことだよな。でも私は、設計図のようなものは、渡した記憶が無いんだが・・・」




「そりゃそうでしょ。渡す気が無かったんですから。」




「・・・俺も受け取った記憶がないんだが。」




「・・・いい?他人の設計図・・・外で言う、DNAでも、十分設計図になるわよ。見た目じゃ理解できない。だから、見ただけで、能力を使えるようになるわけじゃないの。そうね・・・血とかが一番設計図になりやすいんじゃないかしら。ほかには・・・髪、爪、いろいろあるわ。あなた、どれか触ったりしたんじゃない?」




「・・・そういえば、昨日、手に妹紅の血がいっぱいついてた。・・・触るだけでも、いいのか?」




「いや、体内に取り込まないとだめでしょうね。あの時、腕にかすり傷がついていたから、そこから血が進入したんでしょう。ウイルスのようにね。あと、この能力、多分ものすごく珍しいと思うわ。考えてみて。もし、幻想郷中の能力をすべてあなたが使えるようになると、どうなるかしら。」




「すごいことになるな。ぜったい。」




「でしょ。それに、もしかしたら、能力の多重使用が出来るかもしれないのよ。これって、すごいわ。」




「はぁ。」




「なるほど・・・修一の能力の大体は理解できた。こいつが他人の血に触れて、そいつの能力を理解したうえで能力を使うと、他人の能力が使用できる・・・と言うわけだな?」




「そう。」




「修一・・・お前すげぇな。」




「・・・まぁ、自分の能力は、怪我が一瞬で治るって言う内容じゃなかったのか・・・」




「そういうこと。まぁ、ここから先は話題とか無いし、帰るわ。」




「おう、帰れ帰れ。」




も、妹紅・・・またいいごあいさつだこと。




「ばいばい。」




「じゃぁね。」




スキマの中に紫(通称スキマ)が入っていく。




「・・・っていうかさ、ひとつ聞きたいんだが・・・」




「なんだ?」




「なんで俺の隣で寝てたんだよ・・・」




「え?寒かったから。」




「火を操れるんでしょ?」




「家が燃える。」




「もう一個布団を出せばよかったのに。」




「私は一人暮らしだからな。布団はひとつだけだ。」




「・・・俺、他に泊まらせてくれそうなところに行ってくる・・・」




「へぇ、なんで。」




「・・・妹紅、お前、寒いんだったら言ってくれればいいじゃないか。すぐにどいたのに。」




「チッ、もっといじりたかったんだがな…」




「聞こえてるぞ…まぁ、迷惑になりそうだし、他を頼るよ。」




「あぁ、それはかまわないが、ここの竹林・・・一人じゃ出られないと思うぞ。」




「・・・まぁ・・・」




考えてみろ、この広さ。甲子園何個入るんだよ。


見渡す限り、竹。竹。竹。これは、一人では出れないかな?




「・・・出れそうに無いな。」




「そりゃな。修一、おまえはここに来て一週間もたってないからな。案内するぞ。」




「頼む。」





「まかせろ。」



と、妹紅と修一は、家を出て、竹林に足を下ろす。



「・・・そうだな。お前を泊まらせてくれそうなところは・・・博麗神社ぐらいかな・・・」




え?博麗神社?俺の友達が教えてくれたあの神社。八雲紫に会って幻想入り(慧音情報)した神社。


あそこは人気も無い所なのに・・・だれかいるのか?




「そこって、誰かいるのか?」




「え?そりゃぁいるさ。霊夢っていうやつだ。あ、お金持ってるか?」




「え?まぁ、一応・・・」




「ならよかった。さりげなく、本当にさりげなく、賽銭箱に十円か百円入れておけ。絶対に泊めてもらえるから。」




「わ、わかった・・・」




「さてと・・・いくか。手、貸して。」




「え?はい。」




手を前に出す。




「おっと・・・鼻血は出すなよ~?」




「・・・分かった。」




妹紅が俺の手を握る。


・・・この竹林を、手をつないで歩く・・・




「・・・・・・・ぶふぉあ!」




「だぁ~、何考えてるかわかんないけど、こうしたほうが早いんだよ。」




「・・・な、なにが・・・」




「ここ、歩いていくには時間がかかるからな。ほら、いくぞ。」




無理やり妹紅が俺の手首を握ってジャンプする。




・・・妹紅?お前・・・飛びすぎじゃね?俺も浮いてんだけど。


おい、どこまで行くんだよ。ちょ、なれない分怖いんだけど。




「じゃ、行くぞ。」




「・・・なぁ妹紅。聞きたくないんだが、お前今・・・飛んでる?」




「え?当然。飛んでるさ。」




・・・・・・ゆっくりと下を見る。


わぁい。妹紅の家があんなに小さいなんて。


うわぁ。雲もすぐそこだぁ。食べたいなぁ。


なんていってる場合じゃねぇ!




「うぎゃあああああ!」




「ちょ・・・修一?」




「怖い怖い!!速く行って!!頼む!」




「え?あ、あぁ。」




そこからは怖すぎたからか、あまり覚えていない。


























「・・・・・・う、」




「お、起きた。じゃぁ、霊夢、後は頼む。」




「大丈夫、任せて。」




・・・霊夢?誰だ?・・・えっと・・・


確か・・・妹紅が博麗神社までおくるっつって・・・そっから飛んで・・・


・・・じゃぁここは、博麗神社か。




「うぅ・・・しんどいな・・・なんだろな、これ。」




「おはよう。えっと・・・なんていえばいいんだろ・・・私は、博麗 霊夢。この神社の巫女をやってるわ。」




「えと・・・博麗霊夢・・・巫女か・・・俺は、暁 修一だ。」




「そ。修一、よろしく。あ、お賽銭入れたかったら入れてね。」




「うい・・・」




ゆっくり立つ。




・・・ここの神社のこと知らないんだった・・・




「・・・玄関どこ。」




「そっち。あんたの靴もそこにあるわ。」




霊夢が右を指差す。あ、あそこか。




「ありがとう。」




玄関に行って、靴を履いて、賽銭箱にむかう途中、こんなことを思い出した。




妹紅は、十円、百円ほど入れたら良い感じになるって言う感じのことを言っていた気がする。


まぁ、いいことなら、百円は入れたいな。




っと・・・到着。


百円投入。




あ、ここから霊夢が見えるな。


あれ、煎餅が口元で止まってる。




よし、中に入ろう。




「あんた・・・まさか本当に入れた?」




「あぁ、入れた。」




「・・・ありがとう!」




「うわっと・・」




すんごい勢いで握手をされる。


なんかもう、鼻血も出ないぐらいぶんぶんって。


ちょ、ちょっと痛いかな?




「今日からここに泊まって。良いことあるわよ。」




「は、ははは・・・」




そんなこんなで、今日からは、ここ、博麗神社にお世話になります。