それから私達はそのまま私が宿泊しているホテルまで帰り、私が帰国するまで二人ずっと一緒に居た。お互いが片時も離れたくなくて外に出るのも勿体無いくらい一緒に居たくて、食事は全てルームサービスで済ませた。


誰かが言っていた。一目惚れするって事はその人とは本能的にとても気の合う相手なのだと。こうやって彼女と居るとそれもまんざら間違いでは無いと感じる。


私が帰国の日、彼女は浦东空港まで着いて来てくれて私の出国を見送ってくれた。私が出国ゲートを通った時、手を振る彼女の瞳には溢れんばかりの涙が溜まっていて、それを見た瞬間私も彼女と別れる辛さから思わず貰い泣きしそうになった。



私が日本に帰ってからも彼女への熱い想いは消える筈もなく、MSN上でのメールやチャットで連絡を取り合う約束をしていたので、帰国後は二人の時間の許す限り真夜中になるまでずっとメールやチャットで語り合う日々を過ごした。


更には敢えて上海出張を増やして頻繁に上海に行き愛しい彼女とデートを重ねた。その度、母親の手術代を稼ぐ為の夜のバイトを休ませてしまう事に私は少なからず罪悪感を感じたが、彼女が仕事とは言え他の男と親しそうに酒を飲みながら会話をする機会が少なくなる事は単純に嬉しかった。


そんな日々の中で私にとって彼女は最早何者にも変え難い大切な存在となり、私は何の迷いも無く彼女に求婚した。


「我想永远和你在一起(君とずっと一緒にいたい)」


そう言うと彼女も喜んで受けてくれて次に私が中国へ来る時は彼女の実家の無錫へ行って両親に会って欲しいと言われたのである。


それを聞いて、私は只々嬉しかった。