学生の頃一人、パンクだなんだと叫んでいた時、何故かハードロック好きな同級生に同じロック好きのよしみでエレキギターとヴァン.・ヘイレンを教えて貰った事があった。


その同級生は彼の部屋で僕にヴァン・ヘイレンのファーストアルバムを聴かせてくれて、特に「暗闇の爆撃」から「ユー・リアリー・ガット・ミー」の流れに衝撃を受けた記憶がある。あの独特の天にも駆け昇って行くかの様な高揚感を誘うスペイシーなエディのライトハンド奏法に。


それから彼も「暗闇の爆撃」のあのギター奏法を披露してくれたんだけど十分に上手かったと思う。そんな彼に僕はギターを教えて貰ったんだ。


でも僕のギターの腕前は一向に上がらなかったけど、僕は彼からギターを譲り受けて、今でも彼のギターを抱えている学生の頃の僕たち二人の写真が残されている。




先日ブックオフでヴァン・ヘイレンのファーストのCDを買った。ベスト盤やライブではそれなりにファーストの曲は聴いていたけど、ファーストアルバムまるまる一枚を通して聴いたのは一体いつ振りくらいだろう。40年くらい前か。


ヴァン・ヘイレンのファーストは、やはり同級生に初めて聴かせて貰った時と変わらず圧倒的だった。アメリカンハード特有の重く乾いた質感のサウンドと、エディのパワフルでテクニカルなギターと能天気なヤンキー兄ちゃん然としたデイヴのルックスとボーカルが見事にマッチした不朽の名盤。


彼から譲り受けたエレキギターもヴァン・ヘイレンの「炎の導火線」のレコードも、今では全て無くしてしまったけど、あの時感じたあの感覚は全く消えていなかった。




卒業後も彼との交流は続いていたのだが、彼は変な世界に足を踏み入れてそこから抜け出せなくなってしまい、いつしか僕たちの友情は自然と途絶えてしまった。