スティーヴィー・レイ・ヴォーンは我々世代にとっては新世代のブルース・ギタリストというイメージで、デヴィッド・ボウイの「レッツ・ダンス」でソリッドで色気のあるギターソロを弾いていた人。


でもあの頃、音楽雑誌で聞こえてくるニュースと言えばデヴィッド・ボウイのツアーに参加する予定だったが、ギャラの問題で揉めてツアーには参加しなかったとか、個人的には結構ダーティなイメージがついてしまったのも事実。


ただ「レッツ・ダンス」以降初となるスティーヴィーのアルバムは、そんな事を払拭するくらいにオープニングから彼のオリジナルである「スカットル・バッティン」が勢いがあって実にカッコいいナンバーだった。


元々僕はブルースが嫌いでツェッペリンやクラプトンのアルバムに収録されているブルースのカバーは積極的に飛ばしてアルバムを聴く様な人間だった。パンクに心酔していた当時何やらあのもっさりとしたビートが苦手でブルースを酷く退屈な音楽に感じていたからだ。


ところがスティーヴィーのセカンドのオープニングのスピード感満点のナンバーにやられて、アルバムに収録されているそれ以外の典型的なブルースナンバーでさえも素晴らしいと思えるようになっていた。





パンクとは全く関係の無い世界で活躍していたスティーヴィーだったが、時代的な要素も加わって無意識の内にコンパクトでスピーディなブルースギターを弾いていたのかもしれない。



僕の好きなスティーヴィーのアルバムはこのセカンドとファーストとライブ盤の三枚。サードとラストも勿論悪くはなけど、この三枚の衝撃を超える事は無かった。


個人的にあまり好きにならなかったラストアルバムリリースから一年余りでこの世を去ってしまった事が残念でならない。万全な体調でもう一度素晴らしいブルースロックのアルバムを作って貰いたかったから。



僕がスティーヴィーに出会っていなかったら、もしかしたらずっとブルース嫌いだったかもしれないと思うと、スティーヴィーには只々感謝しかない。


そんな事を思い出しながら久しぶりにこのアルバムを聴いた。