今回の「ハックニー・ダイアモンズ」はストーンズにとって久方ぶりの快作だったのだが、実際問題ストーンズのアルバムの傑作はいつぶり以来なのかと問われたら、個人個人意見が別れるところだと思うが、一般的には圧倒的名盤なら「メインストリートのならず者」まで遡らねばならないだろうし、名作なら「女たち」まで、快作なら「刺青の男」まで遡らねばならないと感じる。


だが個人的には今回の新作以前の名作はと言えば「ヴードゥー・ラウンジ」だと思うのだ。

つまりこのアルバムからはストーンズの魅力が如何なく発揮された、久しぶりにストーンズらしさを感じる事が出来る名盤だった。


当時のこのアルバムに対する批判的なコメントとしてよく目にしたのが、ストーンズがストーンズを演じただけとか言われていたが、ストーンズがストーンズらしくて何が悪いのか。そもそもストーンズというバンドは常に時代を先取りしたり、時代に寄り添う様なバンドではないから。例えば偉大なブルースシンガーに音楽スタイルの変革を求めますかという話。


僕がロックバンドに、ローリング・ストーンズに求めているものは至ってシンプルなもの。


それは問答無用のイカしたロックンロールと魂に響く美しいバラードだけ。それ以上でもそれ以下でもない珠玉のロックンロールアルバム、それが「ヴードゥー・ラウンジ」なのだ。