僕が髪を乾かし終わってテレビから流れる洋楽のミュージックビデオを見ていると、Cちゃんは少しウェーブのかかった長い濡れた髪をバスタオルで押さえながら、ピンクのパジャマに着替えて浴室から出て来た。


僕がそんな美しいCちゃんを見つめているのに気づくと、Cちゃんは酷く恥ずかしそうにして、ドレッサーの椅子に座ってドライヤーで髪を乾かし始めた。


それからCちゃんも髪を乾かし終わって優しい笑顔でこっちにやってくると、「E君、何か飲む?」と言いながらレコードプレイヤーのスイッチをつけて、今日僕がレコードショップで買ったオーティス・レディングのレコードを取り出してターンテーブルに載せてくれたんだ。


「早く聴きたいよね」とCちゃんが言うので僕は「うん、でも今はこの曲を聴きたい」と答えたんだ。その曲とはその時テレビから流れていた、まだデビューしてまもないザ・スミスの切実なる願いを込めた歌。


「じゃあ、この曲が終わったらレコードかけるね」とCちゃんは微笑んでくれた。




真夜中、僕とCちゃんは特に会話する訳でもなく、オーティスの歌声を聴きながら、コーヒーを飲んだり僕はタバコを吸ったり、時々些細な会話をしてはCちゃんの美しい横顔を眺めたりしているうちに、僕は知らぬ間に眠りに落ちてしまっていたんだ。


人生で最も至福の眠りに。