沢田研二のアルバム「G.S. I LOVE YOU」はジョン・レノンが凶弾に倒れた1980年12月にリリースされた。


このアルバムは新進気鋭の佐野元春とベテラン作曲家をライターに迎え、グループサウンズの最新鋭のサウンドを作ろうとする試みだったのではと推測する。


佐野元春が当時影響を受けていたであろうスプリングスティーンぽいロックンロールというより、ブリティッシュロックの、それもパブロックに通じるある意味先祖返り的でありながらニューウェーブにも近いサウンドだと感じたものだ。


特にこのアルバムのサウンドを決定づけているのはキーボードの音色。ブレンズリー・シュオーツというかニック・ロウやデイヴ・エドモンズ風の粋なサウンドを伊藤銀次が作り上げ、素晴らしいライター達が書き上げた名曲をジュリーが美しくパワフルに歌い上げ、それを上手くブリティッシュ風味に纏め上げているからブリティッシュロック好きには堪らない仕上がりとなっている。


それはつまり期せずしてジョン・レノンの死とリンクするかの様に、ビートルズに代表されるブリティッシュ・インヴェイジョンのオマージュにもなっていたのだ。


更にはジュリーのボーカリストとしての魅力が、歌謡曲であろうがロックンロールであろうが、舞台がどこであろうと光り輝く事を証明した名盤だと言える。