僕はCちゃんに促される様にCちゃんのアパートの扉の前に立っていた。僕はドギマギしていたんだ、こんなシュチュエーションを前にして。


だって高校一年の三学期からずっと憧れ好きだったCちゃんと一緒にドライブして、それから繁華街に行って二人でデートをしながら食事と買い物をし、夜こうやってCちゃんの住むアパートに図々しくも僕は上がろうとしているのだから。


Cちゃんは扉の鍵を開けると僕に「どうぞ上がって」と言ったんだ。僕はCちゃんに言われるままに玄関に入ると、部屋から如何にも女の子らしい甘い香りが漂ってきた。


Cちゃんは部屋の電気をつけると、僕を手招きして部屋に上がらせてくれたんだ。


「E君、そこに座って」玄関から上がって直ぐのテレビのある居間に僕は座らされた。それからCちゃんはキッチンに行くと「どうぞ」と言って温かいインスタントコーヒーを淹れてくれた。


「今日は疲れたでしょ、お風呂が沸くまでテレビを見て待っていてね」Cちゃんは優しく美しい笑顔で僕にそう言うと浴室に行ってお湯を出しに行った。


なにげなくテレビを見ると、洋楽アーティストのミュージックビデオを流しっぱなしの番組、MTVからソロになったロバート・プラントが遊びで作ったスーパーバンド、ハニードリッパーズの「シー・オブ・ラブ」が流れていた。


甘いメロディを歌うプラント、そこにかつての盟友ジミー・ペイジが、まるでとろける様なスウィートなギターソロを弾いている。


そんな美しい歌がCちゃんの部屋中に響き渡り、優しい時を僕たち二人に演出してくれていた。


Cちゃんは部屋に戻ってくると、綺麗な瞳で僕を見つめるように笑みを浮かべて僕の目の前に座ってきた。僕はCちゃんのあまりの美しさに急に恥ずかしくなってただ俯くしかなかったんだ。