島崎今日子著、「ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒」を読んだ。


ザ・タイガースから今に至るまでのジュリーの全てがそこには記されていて、ファンなら当然知っている事や、今まで一度も聞いた事のない逸話など、ファンである僕には実にたまらない内容となっている。


ザ・タイガースを発掘したあの内田裕也はジュリーを称して「神に選ばれた男」だと褒め称え、ショーケンこと萩原健一は自分にとって唯一のライバルであると認め、夜のヒットスタジオでは女性歌手もジュリーの前では一ファンの様に頬を赤らめ、つまり70年代ジュリーは無敵の存在だった。




常に歌謡界をトップで走り続け一等賞に拘り続けたジュリーも、80年代初期には人気に翳りが見え始め、作品のクオリティとチャートとの乖離にかなりの葛藤があった日々。


そんな中、田中裕子とのスキャンダルや事務所からの独立で更なるエネルギーを要した激動の歳月を乗り越えて、ヒットから見放されながらも常に新曲をリリースしてステージに立ち続けたジュリー。


今ではかつての様な妖美な美貌も消え、声も全盛期程の艶も無くなってしまった。本来ならこのままシンガーとしての沢田研二はフェイドアウトしていってもおかしくは無い。


ところが今ではジュリーのコンサートのチケットは争奪戦になる程の人気らしい。


この本ではジュリーの56年の光芒を描いているが、1番の肝はジュリーと関わった全ての人々が今でもずっとジュリーに魅了されているという事。


だからこそヒットチャートとは無縁のところで、いまだにジュリーはジュリーであり続けているのだ。


ジュリーがジュリーであり続ける限り我々ファンにとっては、永遠のトップランナーなのだという事を再認識した。