80年代半ば、沢田研二は長年在籍していたナベプロを辞めて独立、更にはそれに伴い強力なバックバンドを結成する事になる。それがCO-CóLOだった。


そのバンドのメンバーにはショーケンのドンジャン・ロックンロール・バンドの元メンバーが多く含まれていた。


ジュリーとショーケンの関係性はGS時代のライバル的存在から始まり、PYGではツインボーカルとしてお互いが競い合い、ショーケンが俳優の道を歩き始め、ジュリーがソロシンガーとして成功してからも互いが互いを強烈に意識していたのだろう。


その後ショーケンは俳優をする傍らシンガーとしても活動し、その熱いロック魂を炸裂させたボーカルスタイルは、ジュリーの歌謡曲路線との差異を明確にしていた。


きっとジュリーはそんなショーケンをずっと羨ましく見ていたのだと思う。ヒット曲を生まなければいけないというプレッシャーもなく、自分のやりたい音楽を自由気ままに出来るショーケンのスタンスを。


そんな燃え盛る様なロック魂を持つショーケンと、音楽を紡いできたバンドのメンバーと共に、事務所からも独立し心機一転したジュリーが、本当にやりたい音楽をやれる環境も整い、極めてクリエイティブな部分が刺激されてCO-CóLOと共に創作活動を始めたのだろう。






CO-CóLOと作り上げたファーストアルバムを僕はリリースと同時に聴いた。オープニングの美しいメロディとジュリーの甘美な歌声の魅力に一気に吸い込まれて、なんて素敵な楽曲なんだと思った。


それに続く三曲目の「無宿」の圧倒的なカッコ良さに言葉を失う自分がいた。これ程クールで情熱的で躍動感に満ち溢れたロックンロールが他に存在するのだろうか。


このバンドの売りであるツインドラムの叩き出す強靭なビートと、氷点下の中に存在する水晶の様にひんやりとして透明なギターが特徴的で、ジュリーの熱い情熱を秘めたボーカルがそこに乗っかり、静かなるロックンロールのグルーブの渦を巻き起こしていた。


正直ここまでの三曲で僕は十分だった。この凄まじい超絶的名曲三連打を聴いたら残りの曲は最早どうでも良かった


美しく悲しい「あの人」や「時の街角」はその場の情景が立体的に浮かび上がってくるくらい、表現力豊かなジュリーのボーカルに釘付けになるし、パーカッションが舞う様に響き渡るプリミティブなリズムの「闇舞踏」も実にミステリアスで魅力的な楽曲だ。


それでもやはりオープニングの三曲には到底敵わないのだ。もうこれ以上は存在しないくらいに。


きっと多分多くのジュリーマニアには評判の良くないと思われるCO-CóLO時代だが、僕はCO-CóLOのファーストアルバムであるこれが1番好きだ。