フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドは実際にはトレヴァー・ホーンが仕掛けたイカサマバンドで、何も知らなかった僕は当初ボーカルのホリー・ジョンソンに、ピストルズのジョニー・ロットンを投影していた。


つまりホリー・ジョンソンこそが時代の革命児であり、音楽シーンを根底から覆すパワーと才能の持ち主だと信じて熱狂的に受け入れたのだ。


だがバンドは満足に演奏する事も出来ず、曲も作れない、ルックスも冴えない単なるゲイバンドだったとバレ初め、セカンド・アルバムのあまりの空っぽさ加減に僕は呆気に取られたのをはっきりと記憶している。

そこには最早センセーショナルな話題性も斬新さのカケラもない、至って凡庸なゴミ屑の様な音楽だけしか存在していなかった。



ただ彼らのファースト・アルバムはトレヴァー・ホーンが仕掛人となって生み出した、80年代に咲いた単なる徒花だったとしても、ほんの僅か一瞬だったとはいえ音楽シーンを揺さぶり、酷く輝いて見せたのも事実だった。


フランキーのファーストはそれらの事実を踏まえても、80年代という時代が生んだ名盤の一枚だと思いたい。