1982年、ポール・ウェラーはザ・ジャムを捨てた。ポール・ウェラーの音楽的興味がストレートなロックンロールから、よりソウルフルなものへと変わっていき、そんな音楽をザ・ジャムというバンドでやる事への限界を「ザ・ギフト」で感じたからに違いない。


それであっさり当時英国で人気絶頂だったザ・ジャムを解散するとアナウンスして、ファンへの最後のプレゼントとしてリリースされたのがラストシングルの「ビート・サレンダー」とライブアルバム「ディグ・ザ・ニューブリード」。


ラストシングルは何故か日本でのリリースが見送られ、時差を置いてから外盤で手に入れたのだが、ライブアルバムはリリースと同時に手に入れた。


ザ・ジャムというバンドの歴史を、僅か一枚のアルバムにコンパクトに纏めた、優れた編集のライブ盤で昔ながらのファンは勿論の事、初心者にも非常に分かり易いライブアルバムとなっている。


僕の様なロートルには、やはりなんと言ってもパンクの嵐吹き荒れていた1977年の、100クラブでの「イン・ザ・シティ」には熱いものが込み上げて来るし、お気に入りのセカンド、サードからのナンバーやラストアルバムからの「ゴースツ」も深く深く胸に突き刺さって来た。


僕は学生の頃ザ・クラッシュが1番の気に入りだったけど、学生鞄にザ・ジャムのロゴのステッカーを貼っていたくらいザ・ジャムが好きだったんだ。


自分自身が融通の効かない若い頃、真っ直ぐに前だけを見つめるポール・ウェラーの鋭い眼差しと、駆け引き無しの彼らのストレートなサウンドがとても眩しくて好きだった。