これ程までに完璧なポップソングは存在するのだろうか。ダイアナ・ロスが在籍していたスプリームスが短期間に作り出した音楽こそまさにそれだった。


僕が初めてこのモータウンが誇る偉大なるガールズグループを知ったのは、モータウン25周年と銘打ってモータウンが大々的に所属アーティストのレコードをリリースした83年頃。その時にはダイアナ・ロスはとっくにグループを脱退してソロ・アーティストとして成功を収めていたのだが。


スプリームスの何が凄いのかと言うと、H-D-H(ホーランド=ドジャー=ホーランド)という専属のソングライターチームと共に、究極のポップソングをベルトコンベア式の大量生産の様に一気に生み出していった事。


ダイアナ・ロスの美しくキュートなボーカルと、黒人のソウルミュージックと白人のポップミュージックとの見事なまでの融合。このハイブリッド感こそがスプリームスの、ひいてはモータウンサウンドそのものでそこが肝。


しかもそれらの楽曲達はどれだけ月日が経過しても一切色褪せる事が無いのだから、只々凄いと言わざるを得ない。


「恋はあせらず」のドラムが刻むビートなど、その後どれだけのアーティストがパクった事か。イギー・ポップやジャムなどはその好例。フィル・コリンズに至ってはそのままカバーして大ヒットさせている。







蛇足ながらダイアナ・ロスに関して言えば、モータウン時代、モータウンの創設者のベリーゴーディJRと恋愛関係にあったとされているが、真実はゴーディに手篭めにされ、人知れず私生児まで産み究極の性被害を受けていたと思っている。


マイケル・ジャクソンに関して言えば、ダイアナ・ロスに恋焦がれて顔までダイアナに似せる整形までしたが、どこまで行っても子供扱いしかされなかった。


60年代アメリカのポップス黄金期を支えたモータウンには、そんな闇の部分も隠されていたと個人的には思っている。