僕はCちゃんが大阪の会社に就職する事を知ってから、僕も大阪の会社に就職する事を選んだ。
それでどうなる訳でも無い。そもそも僕はCちゃんを諦めたから卒業後Cちゃんに電話を掛けたり、就職先の大阪でCちゃんと会おうとか考えてはいなかった。
ただ物理的に少しでもCちゃんのそばに居たかったし、それで奇跡的に街で偶然出会えるのを夢描いていたのかもしれない。
でもそんな事なんかある筈も無く、僕は数ヶ月で逃げる様にして仕事を辞めて実家に帰ったんだ。
それから約一年僕は半引きこもり状態で、新しく勤めた地元の会社と家との往復以外、外に出る事が殆ど無かった。
地元に帰って来てから一年経った盆休みに、僕はCちゃんの家に電話を掛けた。あの時何故Cちゃんの実家に電話をしたのだろう。もうとっくに忘れてしまった存在だったんじゃないのか。
でも僕はあの時Cちゃんの実家に電話をした。するとその日は怖いお父さんでは無く、優しいお母さんが出て来てくれて、「Cは帰って来てないよ」っておしえてくれたんだ。
その時僕はハッキリと悟った。
僕とCちゃんは縁がないんだなって。
もう二度と何かに期待してCちゃんの家に電話を掛けたりしないと。
それから数日後、僕は二階の自分の部屋でテレビを観ていると、一階から僕を呼ぶ母の声が聞こえて来た。
「女の子から電話だよ」