オフコースの歌の歌詞を知ってから、僕は二度とCちゃんの家に電話を掛ける事は無かった。だって元々僕が馬鹿みたいに、独りよがりでCちゃんに別れようって言ったのもそれが原因だったから。


当時の僕は幼く青く全く融通の効かない人間だったから、それしか道は無いと思ったんだ。

勿論僕達二人が喫茶店で別れてから、Cちゃんからも電話が掛かって来る事は無かったし。


それ以来僕は友人の家でギターを練習したり、レコードを聴いたり、ゲームセンターで友人とゲームをしたり、喫茶店で大人ぶってタバコを吸ったり、そんな生活をしてCちゃんの事を敢えて忘れる様にしていったんだ。


そんな何も無い日々が過ぎていったある日の事、僕は友人と放課後歩きながら帰宅する為に駅へと向かっていると、僕達の前を一台の自転車が過ぎ去っていった。Cちゃんだった。


Cちゃんは長い黒髪を靡かせ振り向きもせず、僕の事なんか全く知らない人間の様に。


僕はその時ただただ悲しかった。

僕とCちゃんの関係がこんなにも他人行儀で冷め切ってしまった事に。


それから僕の学生生活は終わりを告げ、Cちゃんにさりげなく出会う機会も消え去ってしまった。


僕はCちゃんを諦めた。