仕事を終えた土曜の深夜、僕はCちゃんのアパートに行く為に高速道路を車で走らせている。


いつもならウキウキした気持ちしかないこんな時間なのに、今日はその中に憂鬱な気持ちも含まれているのは、明朝Cちゃんの実家に行って、Cちゃんの両親に挨拶に行くという僕にとっては最大の難関が待ち受けているから。


だって僕はCちゃんのお父さんの事が、学生時代の電話の件以来、大の苦手となっていたから、Cちゃんの実家で挨拶している自分を想像しただけで、冷や汗が出て来そうになって来たんだ。


中国自動車道の加西サービスエリアでちょっと休憩して、駐車場に停めたスカイラインGTの窓を開けて、タバコをふかしながら空を見上げたら、まるでプラネタリウムみたいな綺麗な星空が見えた。4月初旬の深夜の外の空気はまだまだ肌が切れる様な冷たさで、タバコを吸い終えると直ぐに窓を閉めた。


それから右折のウインカーを出しながらアクセルを軽く踏んで、ハンドルを握ってCちゃんの待つ大阪方面に車を走りだすと、カーステから眠気覚ましに持って来ていたAC/DCの硬質なロックが車内を満たしていった。