今更このストーンズの最高傑作について、僕が語る事など果たして残っているのだろうか。


ゴスペルもブルースもR&Bもカントリーをも飲み込んだ、磨きに磨き抜いた漆塗りの様に黒光りするこれらのロックンロール達について。


それを若干20代後半の白人の若者達が演っている事に驚愕すら覚える。それこそブライアン・ジョーンズが生きていた時代の「ベガーズ・バンケット」や「レット・イット・ブリード」を更に練り込んで熟成させ発酵させた、極上のぬか床で漬けたぬか漬けの様に、洗練さのカケラも無い、いなたいロックンロールアルバムを。


もしブライアンが生きていたら、こんな極上のロックンロールアルバムを物にしたストーンズに激しく嫉妬しただろう。何故ならブライアンの求めたストーンズの姿が正にここにあるから。


つまりここで展開さるロックンロールこそがストーンズの真髄であり、このアルバムに乗れるか乗れないかが、ストーンズにのめり込めるか、のめり込めないかの分水嶺だと言っても過言では無い、聴くものを強烈に選ぶ名盤。


高校2年のあの日僕が買ったこのストーンズの二枚組によって、その後40年以上もの間ストーンズへの唯ならぬ思いを抱かせて止まないのだ。


そして間もなくリリースされるニューアルバムへとその思いは続く。