KISSフリークだった僕の兄がこのアルバムを境にKISSを二度と聴かなくなったどころか、KISSのアルバム全部友達にやってしまうくらい、このアルバムはKISSファンを大いに失望させたんだよね。


その頃の僕はKISSはおろかロックなんかに興味も無く、「スターウォーズ帝国の逆襲」なんかに熱狂していたガキだった(笑)


それから程なくしてロックに目覚め、リアルタイムのKISSのアルバムが「エルダー魔界大決戦」というタイトルって幻魔大戦か(笑)


この頃のロックの専門誌にジーン・シモンズか誰かのインタビューで「ザ・フーのトミーはロックオペラだからアルバムトータルでは価値があるが、一曲一曲はつまらない、その点我々のこのコンセプトアルバムは一曲一曲が非常に魅力的なのだ」と、こんな感じで豪語していたが、このアルバムがトドメとなってKISSは完全に過去のバンドとなって行った。


幻魔大戦もとい「魔界大決戦」は聴いた事が無いからなんとも言えないが、「仮面の正体」は今聴き返してみると、なかなかどうしてパワーポップというかトム・ペティばりのアメリカンロックというのか、結構良質なロックンロールなんだよね。それに前作からピーター・クリスがイカれてからはエース・フレーリーの奮闘が目立つ作品とも言える。



前作の第1期黄金時代の最後の輝き「地獄からの脱出」が超絶的名作だったので、仮面を取るのではという期待をはぐらかされた恨みと、飽きられた事が重なって一気にファン離れが加速したアルバムだったけど、内容的には良質な作品だったと思う。