保育園不足が社会の活力を減退させる | 考えてみよう

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働くパパママの強い見方が、保育園です。

しかし最近、保育園に預けたくても、施設数が不足しているため、預かってもらえない「待機児童」が増えています。

そこで今回は、ベネッセ次世代育成研究所の調査から、待機児童問題について考えてみたいと思います。

ベネッセ次世代育成研究所ウェブサイトはこちら

http://www.benesse.co.jp/jisedaiken/


ベネッセ次世代育成研究所では、妊娠・出産・子育て・幼児教育に関して、現在注目すべきテーマを取り上げ、インターネット調査を行い、レポートを発信しています。2009年11月に発表された「首都圏待機児童レポート」では、特に待機児童が多いとされる首都圏の認可保育園に、2009年4月入園に向けて入園申請をした母親を対象とした、調査結果を公表しています。

「首都圏待機児童レポート」はこちら

http://www.benesse.co.jp/jisedaiken/research/research_08.html


■子どもの預け先があれば仕事ができる

調査ではまず、保育園に入園を申請した理由について、尋ねています。

これによると、35.8%が「就労しているから」、27.4%が「求職中だから」、20.6%が「産休・育児休業から復職するから」、12.4%が「就労予定があるから(既に内定している)」と回答しました。

入園申請時点で56.4%が仕事を持っており、まさに預け先が見つかれば、仕事ができる状況であることが分かります。


■認可保育園を利用できたのは半数以下

調査では、認可保育園に入園を申請した母親が、実際入園・利用を決定した保育サービスについてたずねています。

その結果、認可保育園に入園できたのは、47.2%と、全家庭の半数以下でした。

それ以外の保育サービス(認可外保育施設、幼稚園など)の利用を決定したのは12.9%、そして39.9%が「預けていない、利用していない」と、回答しました。


■子どもを預けられない母親は仕事を諦めた

子どもを認可保育園に預けられず、サービスを利用できなかった母親39.9%は、どうしたのでしょうか。

56.1%は、「仕事、または再就職するのをやめ、自分で子どもの世話をすることにした」、また23.0%は「自分または配偶者の育児休業を延長し、子どもの世話をすることにした」と回答しています。つまり就業意欲を持っているにも関わらず、保育所が不足しているため、働くことを諦めざるをえない状況となっています。


■一番の課題は「待機児童解消」

母親たちには、子育てしやすい環境を整えるために、解決すべき課題について尋ねています。

他の項目を圧倒して第1位となったのは、やはり「保育所を増設して、待機児童の解消」で、61.3%が回答しました。また近い将来預けることになる「学童保育の整備、拡充」を挙げた人も26.7%となっており、「子どもの居場所の確保」が常に課題として意識されていることが分かります。


■労働人口が減少する中で「働きたいのに働けない母親」

少子高齢社会となり、労働人口が減少する中、子どもを預けられないために働くことができない母親が、これだけ沢山います。働き手が不足する社会は、生産力が低下し、活力が減退していきます。

さらに、子どもを預けられない環境では、当然のことながら、子どもを産むことをためらうパパママが増えます。これが少子化に拍車をかけます。

保育園の不足が生み出している悪循環。一刻も早く食い止めることが求められているのではないでしょうか。