障がいの有無に関わらず学べる場 | 考えてみよう

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ダイバーシティ・女性の自律支援に取り組む

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最近働きながら、もしくは定年退職後、大学に通う人が増えました。大学側でも、社会人入試の柔軟化や夜間の授業の拡充など、積極的な受け入れを図っています。

学びの場は誰に対しても開かれるべきものです。意欲のある人は、自らの能力と希望に応じて、ふさわしい場を選び、求める知識やスキルを得ていくことが、豊かな人生を送る上でも大変重要です。

そして少しずつではありますが、障がい者に対しても、学べる体制が整備されつつあります。

今回は、独立行政法人日本学生支援機構がまとめた「障害のある学生の修学支援に関する実態調査」結果から、障がい者のダイバーシティについて、考えてみたいと思います。

*調査結果の詳細はこちらをクリック

http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/chosa0801.html


■高等機関で学ぶ障がい者は増えている

調査は全国の大学、短大、高等専門学校に対して実施されました。

まず、2008年度に在籍した障がいのある学生数は、前年度比15.4%増の6,235人でした。これは全学生数の0.20%を占めます。前年度の5,404人(0.17%)を上回り、これまでの調査の中で、単純比較はできないものの、最も多くなりました。

障がい学生が1人以上在籍する学校は719校で、全体の59.0%。6割近い学校で、障がい者が学んでいることになります。


■高等機関側の受け入れ態勢も進みつつある

障がい学生が学校に通う場合、通常の対応では学びに支障が出る場合があります。例えば車椅子を利用している場合、2階以上の校舎にはエレベーターが必要です。視覚障がい者の場合、点字等のテキストが必要です。

入学後の支援(ノートテイク、手話通訳、点訳、墨役など)を行っている高等機関は543校。高等機関からこれらの支援を受けている障がい者は3,440人、障がい学生の55.2%と、半数以上を占めます。

また「支援を実施している人は誰か」を尋ねたところ、「学生」が233校、「教職員」が221校、「外部」が136校となりました。

なお入学試験において、障がいを理由とする特別な措置を行った受験者は、1,958人でした。


■心のバリアフリーへの取り組み

学校生活を満喫する上で欠かせないのが、人との交流です。高等機関が、障がいの有無に関わらず、人間関係を広げられる場となることが大切です。

そこで障がい学生支援に関わる教職員に対する研修や、教職員・学生に対する啓発活動などの実施状況を尋ねたところ、「行っている」との回答は542校、全体の44.5%でした。また活動内容として最も多かったのは、「関連する講義(ボランティア論など)」の開講が269校と最も多く、「障害学生と支援スタッフに対する相談対応、懇親会等の実施」「教職員向け各種研修の実施」「学生向け各種研修の実施」が続きます。

講義は、単位取得にあたり、希望する(=もともとボランティアなどに関心がある)学生のみが聴講するものです。また「相談対応」や「研修」は、障がい学生の支援に携わっている人が主な対象となります。同じ場で学ぶ学生や教職員全体といったところへの働きかけは、まだまだこれからのようです。


■障がい者が学問を継続していくために

障がい者は、小学校から高校までは、小中学校に併設されている特別支援学級か、障がい者のみが通う特別支援学校に通うことが大半です。幼い頃から非障がい者とは異なる場で学び、知識技能を見につけてきました。そして、高等機関に進学できる障がい学生は、残念ながらとても限られているのが実情です。

障がい者と非障がい者が机を並べ、共に学び、共に高めあう環境を実現するために、取り組むべきことは沢山ありそうです。まずは私たち一人ひとりが、町で障がい者に出会った時、どのように対応できるか、ではないでしょうか。


独立行政法人日本学生支援機構様ウェブサイトはこちらをクリック

http://www.jasso.go.jp/