家事、育児、介護をする男性が、メディアなどで取り上げられる機会が増えてきました。
しかしまだ様々なところで、性別役割分業が残っています。
そこで今回は、家事分担を、「海外との比較」そして「理想と現実とのギャップ」という観点から考えてみます。
■日本の主婦の家事時間は長い
P&G(プロテクター アンド ギャンブル)様が2009年6月に実施したインターネット調査によると、日本の主婦の家事労働時間は1日平均4時間24分と、海外の主要国に比べ2倍程度長いことが分かりました。
この調査は日本の主婦1,000人と、アメリカ、イギリス、スウェーデン、中国の主婦各300人の計2,200人に対して実施されました。家事労働時間の結果は以下の通りです。
1位:日本(4時間24分)
2位:スウェーデン(2時間42分)
3位:アメリカ(2時間24分)
4位:イギリス(2時間12分)
5位:中国(1時間54分)
*調査結果の詳細はこちらをクリック
http://www.j-cast.com/mono/m/2009/08/10047092.html
日本の主婦がこれだけ長い時間家事労働に携わっていることの背景には、女性に家事が偏っていることと、効率化・機械化が進んでいないことが挙げられます(効率化・機械化は手抜きと捉えられることがあり、昔ながらのやり方を続ける女性もいます)。
■子育ては女性の分担比が大きい
子どものいる家庭では、家事に加え、子育ての負担も女性にかかってきます。
住友生命様が2009年6月に、育児中の男女を対象に実施したアンケート調査によると、夫と妻の子育ての役割分担の平均値は「夫:妻=2.3:7.7」。妻が夫の3倍以上、子育てを担っていることが分かります。
なお結果を男女別で見ると、男性は「夫:妻」が「3:7」「2:8」が各3割で最多なのに対し、女性は「1:9」が4割弱を占めています。夫が思っているほど、妻は夫の子育て分担を評価していないようです。
ちなみにこの調査では、理想の役割分担についても尋ねています。
男女を合わせた平均値は「夫:妻=4.1:5.9」。これを男女別で見ると、男性は「夫:妻」が「5:5」が最も多くなっています。しかし女性は「4:6」が最多。女性のほうがより現実を踏まえた理想を望んでいることが分かります。
*アンケート結果の詳細はこちらをクリックし、平成21年8月13日の「スミセイ子育てサポートアンケート」をクリック
http://www.sumitomolife.co.jp/newsrelease.html
子育て家庭で女性がこれだけ役割を担っていることの背景には、男性が長時間労働を強いられていることと、共働きであっても、「育児を含む家事は女性が担うもの」という意識が残っていることが挙げられます。
■男性の理想を実現するために
男性は家事や育児を担いたくない、というわけではなさそうです。しかし理想がなかなか現実にならないのは、男性自身、そして家族全体にとって、とても不幸なことです。
先の住友生命様のアンケートでは、「子育てを充実させるために求めるサポート」についても尋ねています。トップは「経済的支援」、2位は「託児施設・サービス」でした。
男性が家計を担う世帯がほとんどの現状においては、経済的支援がなければ、男性が仕事の時間を減らして家事・育児を担うことは、難しいのです。また共働き家庭で子どもを育てていくには、保育所の待機児問題に現れているように、子どもを預かる施設の不足を解決することが不可欠です。
家族にとってなくてはならない営みである家事、そして育児。役割を夫婦で分担して担っていくという、当たり前のことを当たり前に実現していくために、自治体や企業による各種支援の拡充が求められます。そして社会的なサポートが不足する現状においては、夫婦が、その時々に応じた各々のワーク/ライフ・バランスを実現できるよう話し合うこと、そして周りがあたたかく見守り応援することが、何よりの支えになりそうですね。
プロテクター アンド ギャンブル・ジャパン株式会社様ウェブサイトはこちらをクリック
住友生命保険相互会社様ウェブサイトはこちらをクリック
http://www.sumitomolife.co.jp/