去る2009年7月に、「子ども・若者育成支援推進法」が国会で可決、成立しました。施行は2010年4月を予定しています。
そこで今回は、推進法を通じて、子ども・若者がイキイキできる社会について、考えてみたいと思います。
■若者の自立は社会の責任
この法は子ども・若者育成支援施策を総合的に推進するために設けられました。また社会生活をスムーズに送ることが難しい子ども・若者を支援するネットワークの構築も謳っています。
大きなポイントは、子ども・若者育成支援を、社会の責任として認めたことです。
特に若者については、小泉構造改革以降強まった「自己責任論」で、本来社会が担うべき役割まで、個人の責任と見なされる状況がありました。例えば現在の不況に伴う学生の就職難は、個人の力で解決できる問題ではありません。
推進法は、子ども・若者の抱える問題を、地域ネットワークが支援することにより、就業・修学等につなげることを目指しています。
■子ども・若者を取り巻く状況は複雑化
推進法成立の背景として、次の3つが挙げられています。
1)有害情報の氾濫等、子ども・若者をめぐる環境の悪化
2)ニート、ひきこもり、不登校、発達障がい等の精神疾患など子ども・若者の抱える問題の深刻化
3)従来の個別分野における縦割り的な対応では限界
子ども・若者を取り巻く状況が複雑化していることにより、社会が積極的な働きかけをすることが求められているのです。
そこで推進法では、ワンストップの相談窓口として、「子ども・若者総合相談センター」を設置。「子ども・若者支援地域協議会」を通じて関連機関との調整を図り、総合的な支援体制の構築を目指しています。
というのも、背景として挙げられているとおり、子どもを取り巻く法は縦割り行政に合わせて個別に施行され、支援機関もバラバラなのです。
例えば教育では、修学支援を支援する教育委員会があります。福祉では、生活環境改善を支援する福祉事務所や児童相談所があります。保健では、医療支援のための保健所や精神保健福祉センター、雇用では、就業支援のためのハローワーク、といった具合に、本来関連付けられるべき問題が、行政の都合で区切られて取り扱われてしまっています。
この不便さを少しでも解決しようというのが、相談センターと地域協議会です。企業や学校、NPOも含めた社会資源を活用した支援が期待されます。
■大人は子ども・若者と向き合おう
子ども・若者を取り巻く環境の悪化、そして問題の深刻化を、私たち大人は「子ども・若者からのメッセージ」として、きちんと受け止めねばなりません。
子どもが子どもらしく、若者が若者らしく、健やかに成長していくために、私たち大人ができることを考えることを真剣に考え、向き合う時が来ているのではないでしょうか。
「子ども・若者育成支援推進法」はこちらをクリック
http://www8.cao.go.jp/youth/index.html