働くパパママの子育ての強い味方となるのが保育所です。勤務中、子どもを預かってくれる存在は、とてもありがたいものです。
しかし、保育所の数は足りません。「待機児童」と呼ばれる、保育所に入りたいのに入れない子どもがたくさんいます。
「保育園を考える親の会」は、首都圏の市区町村・政令指定都市へのアンケートを実施し、2009年6月に、「待機児童対策に関する調査報告と提言」をとりまとめました。各自治体における保育所の実情や課題が、明らかとなりました。
■4人に1人以上が待機児童
調査では、各自治体からの結果を元に、保育所入園を申請する児童数に対する、入所決定児童数の割合を算出しています。
全年齢平均:72.6%
0歳:81.9%
1歳:64.8%
2歳:63.4%
3歳:78.5%
4歳:80.0%
5歳:80.8%
待機児童の割合は2歳が一番高くなっています。全年齢平均では約27%、つまり4人に1人以上が待機児童であることが分かります。
■景気悪化で待機児童が増加
2008年秋以降の景気の落ち込みは、これまで専業主婦であった女性たちが働く必要性を高め、待機児童の増加を後押ししています。
ここ1~2年の入園申請の傾向について調べたところ、各自治体が「Yes」と回答した割合は、下記のようになりました。
・求職中の申請がふえている・・・69.2%
・育児休業明けの申請がふえている・・・62.8%
・ひとり親世帯の申請がふえている・・・46.2%
・保護者の不調、虐待の懸念などから措置がふえている・・・34.6%
・生計中心者の失業(あるいはその懸念・減給)などの訴えがふえている・・・28.2%
・保護者が父母ともに非正規雇用であるケースがふえている・・・17.9%
申請は、「求職中」「育児休業明け」「生計中心者の失業」「父母とも非正規社員」といった、「親の働く状況の変化」という要素と、「ひとり親」「虐待への不安」といった、「社会からのセーフティネット」を必要とする要素において、増えています。保育所は、社会の課題を解決する上で、重要な役割を担っていることが分かります。
■待機児童対策のネックは「ハード面の確保」と「財源」
調査では、待機児童対策のネックとなっている課題を尋ねています。
最も多かったのは「用地や建物の確保」で、38.8%の自治体が回答しています。次に多かったのは「財源確保(施設整備・運営等)」で37.3%でした。
「用地や建物の確保」については、適切な土地が確保できないことの他、特に都市部においては土地の高価格化がネックとなっています。
「財源確保」については、整備費用の他、運営費負担の継続的な増大も課題とされています。2004年度から公立保育園運営費が一般財源化したため、予算が確保しづらくなったという声もあります。
■待機児童対策は「子育て家族のセーフティネット対策」
景気悪化に伴う共働きの増加や、ひとり親世帯の増加は、保育所が単に「子どもを預かる」だけでなく、「子育て家族のセーフティネット」の場としての機能を期待されていることが分かります。待機児童の増加は、「セーフティネットのない子育て家庭の増加」でもあるのです。
子どもは未来を担う社会の宝です。パパママだけに任せるのではなく、社会全体で育てる環境が必要です。保育所を「地域の資源」として整備し、子育て家族が安心して生活できるよう、建物や財政といった「ハード」と、親子への心身のサポートという「ソフト」双方の、支援強化が求められているのではないでしょうか。
保育園を考える親の会「待機児童対策に関する調査報告と提言」はこちらをクリック
http://www.eqg.org/oyanokai/opinion.html