「モグラ女」がスポットライトを浴びる | 考えてみよう

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【2007年問題の裏で】

2007年問題

・・・2007年から始まった、団塊世代の大量退職を、こう呼んでいます。

「職場からベテランがごっそり消える」

「男たちが家庭に帰ってくる」

事前に色々と騒がれたほどのこともなく過ぎているというのが、印象ではないでしょうか。

団塊世代の男性の裏で、もう一つ、忘れてはならない存在があります。

それは「団塊夫の妻」、名づけて「モグラ女」です。

「モグラ女」の名付け親は、プロデューサーの残間里江子氏です。出版、映像、文化イベントなどを手がけるだけでなく、2005年には、シニアに向けた新しいライフスタイルを提案する会社、「クリエイティブ・シニア」を設立。自らも団塊世代として、様々な情報を発信し続けています。

「モグラ」は日を浴びることなく、土の中で生きる動物。なぜ団塊女はこのように命名されたのでしょうか。


【豊かな能力が社会化されない「モグラ女」】

団塊世代が就職したのは1970年前後。「男女雇用機会均等法」成立前の女性の就職は、結婚までの「腰かけ」という風潮が非常に強いものでした。このため団塊女の専業主婦率は非常に高く、労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)を年齢別にグラフにすると、団塊女の世代で労働力率が下がっており、専業主婦率が高いことが分かります。

つまり団塊女の豊かな能力は社会化されることなく、家庭や地域にとどまってしまっているのです。


【「モグラ女」がトレンドを生み出す】

そこで残間氏は「モグラ女」を含む40代以上の女性、そしてその夫たちを主な対象とした会員組織を立ち上げます。その名も「club will be」。2009年1月の正式オープンに向け、ホストを務める著名人、そして会員を募集中です。

女も男も、長年慣れ親しんだ社会での肩書きを捨て、「人間」という肩書きで集まり、会話を交わし、楽しみ、人の役に立つネットワーク作りを目的としています。最終的にはそのネットワークの発言・行動が、産業や市場を動かすパワーまで育つことを目指しています。

団塊世代は人口比率の高い世代。この世代の動向は、産業や市場の動向を大きく左右します。既にシニア世代の売り場を広げた百貨店、定年後の夫婦に向けた商品を打ち出す旅行、団塊世代をターゲットとした雑誌の創刊等、様々な動きが出ています。あとは、これまで地面の下に潜ってしまっていた「モグラ女」の「声」が社会に届くことで、新しいトレンドが生み出されるのです。


【私が社会を動かす】

これまでは「●●の奥さん(もしくは●●ちゃんのお母さん)」「夫は○○に勤めています」と、自分ではない誰かを介して自己紹介をしていた「モグラ女」。でも夫が定年退職し、子どもが成人すれば、そんな自己紹介はできなくなるのです。でも、もともと、そんな自己紹介は必要なかったのです。なぜならすべての人はこの世に1人しかいない、かけがえのない存在なのですから。

私が「人間」として発言・行動していくことが、より多様な意見が反映されたダイバーシティ社会を創り出すのですね。




2008年9月21日付「日本経済新聞」より


残間里江子氏のブログ「今夜も眠っちゃいられない!」はこちらをクリック

http://www.club-willbe.jp/zamma/

1980年ならびに2000年の労働力率のグラフはこちらをクリック

http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/topics/topics07.htm

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