日野原先生が考えるワーク/ライフ・バランス | 考えてみよう

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96歳で、今なお現役。

著書「日野原重明の生き方哲学」が大ベストセラーとなった、聖路加国際病院理事長の日野原重明先生は、高齢者の生き方だけでなく、少子化に対する鋭い提案もされていらっしゃいます。
「日本経済新聞」に掲載された、日野原先生が考える「ワーク/ライフ・バランス」をご紹介します。


【都心生活の改善「箱物よりサービス」を】
■「共働き世帯が、便利な都心に住居を構える」のはワークライフバランスの一つの理想型だ。しかし、都心生活を支えるサービスはいまだに不十分。通常の保育体制の整備は進んでいるが、風邪をひいて熱を出すなど、急な病気になった子どもの面倒をみるサービスは、東京でもまだまだ少ない。
■東京をもっと住みやすく働きやすい街にするにはどうすれば良いか。「今の東京を大きく変えるにはお金や時間がかかり過ぎる」と感じている。行政に求められているのは箱物づくりより発想の転換。病児保育もその一例だ。最近では病児保育で行政と非営利組織(NPO)が連携する事例も増え始めた。


【老若協働】
■六十五歳以上でも現役で働けるように。高齢者に優しい街づくりはインフラ整備だけにあらず。短絡的にバリアフリー化すれば良いというものではない。併せて転ばない歩き方の教室などを開催していくべきであり、サービスとの一体化が必要。老人の力を生かし、少なくなってきた若い人たちとの協働を促す。
■高齢者は店頭の販売に従事し、若い人はより体力が必要な生産現場などに。ワークシェアリングが有効である。


【東京を生かす】
■首都としてあらゆる機能が集中する東京。少し景気が持ち直すと地価が上がり、かえって変化に水を差す。

東京を生かすという観点に立てば、「首都機能をそう遠くないところに移していく」のも一案。首都でなくなった東京は「ベッドタウンに変わっていく」とみる。
■過密は被災の度合いを大きくする。聖路加国際病院はかつて地下鉄サリン事件が発生した際に多くの患者を収容した。首都直下地震なら路上で立ち往生する二百万人の帰宅困難者が生じる。戦後の焼け野原から復興を遂げた日本を知る立場からすれば、過密がいまや沸点にさしかかっているのは明らか。人に優しい街づくりは待ったなしだ。


「子どもを安心して近くで預けることができる街では子どもが育ち、活力が出てくる」と話す日野原先生。

ワーク/ライフ・バランスは、街の活力を生み出すパワーも、もっているのですね。


2008年4月9日付「日本経済新聞」 より


日野原重明先生が理事長を務める聖路加国際病院HPはこちら
http://www.luke.or.jp/