さて

我がピアノ教室でも

過去にオーディションを受けて

選ばれた生徒さんもいましたが

選ばれなかった生徒さんもいました。



彼女はうちのお教室では

熱心に練習してくる方で

お母様も熱心ではあるが

やらされている感が全くない子で

いつも楽しそうにピアノを弾いています。


しかし、オーディションは受からなかった。


これは、私としては、正直、

難しいだろうとは予測していたのです。

聡明なお子さんではあるが

ピアノの他にお習い事をたくさんやっていたのです。

短い時間で、とても集中して良い練習はできていたのですが


たくさんのライバルのなかで

キラリと光る音色を出せるほどの

ピアノに向いている手、には

育っていなかったのだと思います。


お母様に何か苦情を言われた、とか

そういう事は無かったのですが

やっぱり、本人もガッカリして

私としても、ちょっと複雑な心境だったですね。

生徒が、そういうオーディションを受けると言い出す事は、

ピアノ指導者にとって嬉しいことのはずなのですが

何せ狭き門であるので‥。


その後、お母様とご本人も交えて

1時間ほど面談して

ピアノの世界の厳しさを

私なりに分かりやすく説明させてもらいました。


その時に、やっと、オーディションの難しさを

理解してもらえました。


まあ、こんなこともあったので

これからは、もうちょっと事前に

伴奏オーディションについて生徒さんに発信していこうと思いました!

私なりに、

学校の伴奏オーディションを受けるまでの注意点というか、

心構えとして持っていてもらいたいと言うことを

まとめてみました。


オーディションの課題曲が出てからでは遅く

ピアノを習いはじめてから

直ちにやるのが条件です。


①自宅に88鍵盤のピアノがあること。

 これは、当たり前と言えば当たり前なのですが、近頃ピアノをご自宅に置くことに抵抗がある保護者様が多くなっているような気がいたします。色々な理由があるのでしょうが。


これは単に練習時間を多くできるからと言う事だけではなく、

いつも身近に楽器があることで、

子どもの音感が良くなりやすいのです。

すると、当然ながら上達も早い。

音感は、正直、訓練しない状態で、

 とてもいい人、普通の人、あまり良くない人

の大体3種類位に分けられる。(これが兄弟でも

違いがあります)

もって生まれた素養も大きいですが


普通の音感の人、それよりもあまり良くない人も毎日ピアノを弾いたり、音楽を聴いたり、身近な楽器の音を聞いたりしていると、

少しずつ音感は良くなっていくらしい。

極端に、良くなると言う事は無いかもしれないですが

その人なりに進歩はするということです。

これはピアノに関しての科学的な本にも

書いてありますし

私自身も実感しています。

 だから、我が子に伴奏オーディションに受かってもらいたい!と強く思うならば、

電子ピアノでも生ピアノでも良いので、

自宅にあった方が良いです。


②お習い事はピアノを含めて3つ以内にする。


私の子供たちは

バイオリンを習わせていたので、

伴奏オーディションを受けた事はなかったのですが、

ピアノの先生のお友達で、自分のお子様にピアノを習わせている方々に、

お習い事の数を聞いてみると

大体2つとか3つのことが多いのです。

コンクールを受けたりすると、たくさん練習しなくてはならないので

そんなにできない、という方が多いかな。

もちろん、お子さんの性格にもよりますが

ピアノの先生は、もし、自分の子供がコンクールに出たら、ある程度結果を残したいと思う方がほとんどでしょうから、

ピアノの練習を優先すると、当然ながらそうなるでしょう。

ピアノの練習もさることながら

音符の勉強も必要ですからね。

どちらかというと、色んな意味で

早熟なお子さんが通りやすいです。



③お母様がお子さんのピアノの練習に付き添う

 これは、さすがに中学生ともなれば

1人で練習できるのだと思いますが、

小学校2年生だとまだまだ1人ですべてを練習するのは難しい年齢です。

ですので、そばにお母さんが聞いてあげて

「ここが難しそうだから、ここをもっと練習したほうがいいんじゃない?」

「ここは上手になったね!」

などと声をかけてあげて

練習に付き添ってあげる必要があります。

できたら、1週間のうちに半分以上は付き添ってあげると良いと思います。

④毎日、最低で30〜60分の

練習時間を確保する。

 これは、②.③と重なる部分もありますが

ピアノ向きの手を作るための最低ラインの練習量です。

だからといって、何も考えない練習をやたら多くしても上手くなるわけでは無いのですが

子どもの場合、指の強さも個人差が大きいので、

際立って綺麗で、遠くまで届く音を出すには

やはりある程度訓練が必要です。


そして、インフルエンザなどで1週間位学校お休みした時にも、一番ひどい症状の時はともかくとして、

5分か10分くらいはピアノに触るようにします。

 これは長く旅行に行く時もそうです。

出かける前日には必ず少しでもいいからピアノを練習します。

逆に帰ってきたら、できるだけ早い時間にまた練習します。こうすることで、下手になるのを防ぎます。


以上が、

お子様や家庭によって微妙に違う部分はあってもいいと思いますが

私が考える

小学校の伴奏オーディションに合格するための

最低限度の条件となります。

言い換えると

これらの条件を揃えていないのに

オーディションに受かろうとする事は、

虫がよすぎると思います。

でも、もし、知らないから

そうなるとしたら

ピアノ講師が丁寧に説明していくしかない。




それからの範疇にはいるのか

とした方が良いのか

迷ったが

1番大事なのかもしれないのは‥


オーディションに受かる子と言うのは、

親子ともども、ピアノが大好き!音楽が大好き!

というお宅なのです。

当然のことながら、家庭に日常的に音楽が溢れていることが望ましい。


半年に一度くらい家族で音楽会に行ったり

クラシックのCDをリビングに流したり

YouTubeを家族で鑑賞したり

歌を親子で楽しく歌ったり

といった時間が多いほど

音楽が好きなご家庭、ということです。

お習い事を多くしていると

こういう時間が取りずらいと思うのです。

経済的にも、そちらに取られる。


それから、想像力をつけるためにも

本をじっくりと味わって読む、という事もした方が

良いでしょう。

読解力と読譜力は、ほぼイコールです。

そういう時間も大事にしてほしい。


要するにオーディションに選ばれて目立ちたい!

という気持ちだけでは

通らないという事です。


しかし

前回のブログでも述べましたが

学校側が出す課題が理不尽だなぁと思う部分も

あるので、

小学校2年生の時点での成長の段階で

選ばれなくても、決してピアノの才能がまるっきりないというわけではありません。

むしろ成長の度合いが揃ってくる

中学生の合唱祭のオーディションを視野に入れて、

ピアノの勉強を続けていった方が

とても楽しく勉強できると思います。

そのあたりがピアノ教師として複雑だと思う

所以です。


保護者によっては、

特にオーディションに受かるかわからないけれど、

本人がやりたいと言っているから、

とりあえずやらせる、という割とさっぱりとしたスタンスの方もいらっしゃる。


そういうご家庭は、私があげた条件が揃わずとも経験としてオーディションを受けてみることも良いと思います。


誤解のないように申し上げますが、

これは伴奏オーディションがどうしても受かりたいという方のための

注意書きなので

オーディションに受からなくても

楽しく長く続けられればいいという方には

これは当てはまりません。

その辺を御理解よろしくお願いします。