なつやすみの始まり | 阿蘇の国のクララ

 

7月23日(土)

 

大暑...

夏のエネルギーが極まる夏の盛り。

 

 

めるころパン工房

 

「整体が終わったら、

ヒゴタイ公園に行こうか?

そろそろ咲いている頃でしょう」

 

ヒゴタイ公園

 

「クー!」

 

ヒゴタイ...

丸いポンポンのような瑠璃色のかわいい花。

氷河時代の残存植物のひとつなのだそうです。

 

「そうだ、幸せを呼ぶ青い蜂、来てるかな?」

 

「クッ、クッ、クッ、...ここだったな?」

 

ミソハギ

 

「...まだ来てない」

 

それが今年の「なつやすみ」の始まりでした。

 

神様が絵の具で描いたような、白い雲。

 

まばゆい光の中、赤トンボが飛んでいる。

 

朝は日向のにおいのする

ママの指がふれ、

頭をそっと撫でる感触で目覚める。

 

7月24日(日)...

 

宮崎県日向市

 

「クー!日の出♪」

 

お倉ヶ浜

 

「ママ、海に入ろうよ!」

 

「今日はね、泳ぎが目的じゃないの。

パパがウミガメの痕跡をさがしたいんだって」

 

「ウミガメ?」

 

「そう、アカウミガメ」

 

アカウミガメ...

例年5月頃から上陸、

産卵をみることができますが、

砂浜の浸食が進み、

海岸利用者の増加などもあって、

近年、上陸、産卵活動は

激減しています。

 

ハマグリ

 

ママ

「駐車場からずいぶん歩いたね」

 

パパ

「見つけた...!?カメが歩いた跡」

 

「休んだ?」

 

「クーちゃん、あれ見て!」

 

アカウミガメの産卵巣(卵が産み落とされた穴)

 

果てしない時間のあとに残ったのは、

海砂の味と、胸の奥で脈打つ鼓動でした。

 

朝日は黒く燃えていて、

まるで私たちを待っていたような。

 

「いつか、ウミガメを見てみたいね」

 

パパの声。

 

かなり息があがってる。

 

きっと新たな冒険が始まったんだ。

 

「うん、見つけようね」