4月22日(金)...
ミツバツツジ
「おかえり、クーちゃん!」
「ただいま!」
「...先生なんて?」
「特発性顔面神経麻痺かもって...」
...顔面神経のみが障害されるだけで
他の神経への障害はありません。
特発性とは原因不明と言う意味で、
発病は、5歳以上の成犬に多いです。
症状は食事をボロボロとこぼし、
上手く食べられなくなったり、
口からよだれが垂れるというような
症状が出てきます。
...クララはよだれを垂らし、
水が飲めなくなりました。
アジュカ
治療はというと
ごく初期にステロイドが有効
との意見もありますが、
実際には自然治癒に任せる以外、
手立てはありません。
それでも3~6ヵ月の間に
50~70%の自然治癒が
期待できます。
「...先生、治りますか?」
「どうだろうね?
ステロイドを3、4日飲んで、
それで、水が飲めるようになれば
治るかもしれないね」
「クー」
「がんばったね、クーちゃん」
ママは笑いながら私の頭を撫でました。
「クーちゃん、痛かったね」
パパは私に向かって両手を伸ばしました。
それから私を両手で抱きしめました。
私は、世界に自分の味方はパパしかいない、
というように強く強くしがみつきました。
その様子を、ママは泣き顔で見つめています。
「愛してるから、がんばろうね」
とパパはみんなが見ているのにあやし始めました。
パパを見ていたら、
ぽつりと心に浮かんだ暗い気持ちも、
いつのまにか薄れていきました。