ただ愛し合っているというだけで | 阿蘇の国のクララ

 

4月3日(日)...

 

「うわっ、白龍だ!」

 

「...白龍?パパ、どこ?」

 

「阿蘇山の真上!」

 

阿蘇山の白龍は本当に大きくて、

山の空間にある顔は巨大でした。

 

じっとこちらを見ていました。

 

龍は人間を姿形で見ているのではなく、

魂を見ているそうです。

 

火山の神様なのでしょうか...。

 

「クララ、今日はぼくの山登りに付き合って♪」

 

「クー♪」

 

「何回か登ったことがある、

越敷岳(こしきだけ)だよ。

先日出会った

猟師のおじさんが言ってたでしょう?

この山にはニホンカモシカがいるって...」

 

「クー」

 

「ここは、ニホンカモシカ生息地の穴場なんだ」

 

「クー!」

 

たしかに私たちのほかに人は誰もいなくて、

山をふたりじめです。

 

それが余計に開放的に感じさせてくれます。

 

越敷岳(1061m)往復2時間50分

 

「クッ、クッ、クッ、...」

 

 

「クッ、クッ、クッ、...」

 

 

「クッ、クッ、クッ、...」

 

「クッ、クッ、クッ、...」

 

 

「いなかったね♪」

 

春の光の中で、

桜の花が銀色にキラキラ光っているような

感じでした。

 

私たちは安心していました。

 

何も怖いものはない...

 

こうしてパパと一緒にいたら絶対安心だ、

そう思えました。

 

私もパパもチャージされていました。

 

また少しだけ、

ママを守ってあげられる。

 

ふたつの魂が力を合わせて、

ただ愛し合っているというだけで、

もうひとつの魂を守ってあげる。

 

そうですよね、阿蘇の国の白龍様...

 

「クララ、ニホンカモシカの足跡!」