カステラ食べよう | 阿蘇の国のクララ

 

4月13日(水)...

 

「...ママは、誘わないの?」

 

「誘ったけど、寝ていたいんだって」

 

「...今日はどこまで?」

 

「祖母山の神掛岩まで」

 

祖母山

 

「...かんかけいわ?」

 

「そう、かんかけいわ。

神様が腰掛けたことから神掛岩。

付き合ってくれる?」

 

「クー♪」

 

神掛岩...

祖母山の北側、小松尾根の中ほど、

標高1123mの地点にある露岩です。

祖母山に降臨したニニギノミコトが

腰かけたことからこの名前がついたそうです。

 

※往復4時間の予定です

 

「今なら、ヤマシャクヤクや、

アケボノツツジやミツバツツジも見られるよ」

 

「花より、カステラ♪」

 

「クー!」

 

「ここからは、初めてのコースだね!」

 

五合目小屋上部

 

「小鳥がいっぱい!」

 

神仙滝を通過して...

 

「パパ、これは?」

 

ヤマシャクヤク

 

「ヤマシャクヤクだよ♪」

 

ヒメシャラの群生地

 

「尾根に出た...」

 

「もう少し、クー!」

 

アケボノツツジ

 

ミツバツツジ

 

森の奥の奥。

 

汗だくになってようやく

神掛岩に着きました。

 

奇妙にぽっかりと開けたそれを見たとき、

私たちはその場に棒立ちになりました。

 

神掛岩

 

「...パパ、行く気?」

 

「...うん!」

 

パパは、力強くうなずきました。

 

 

「怖かった...」

 

やがてパパが震えながら帰って来ました。

 

祖母山の神様...

 

パパを返してくれてありがとうございます。

 

命を取るか、

連れ去ってしまうこともできたでしょうに、

慈悲深いお方です。

 

人間の中から、

どんどん畏れや敬いがなくなっていく。

 

それは、

科学や技術が発達していくのと

引き替えなんでしょうか。

 

「人間から、畏れや敬いがなくなったら、

どうなるの?」

 

不安げな私に、パパは優しく微笑みました。

 

「さぁ、うまいこと、

科学と自然の折り合いがつけばいいんだけど」

 

パパは私の頭をぽんぽんと叩きました。

 

「カステラ食べよう、同じ数だけ」