そう、遠くにあなたの姿を見つけたから | 阿蘇の国のクララ

 

1月29日(土)...

 

「クーちゃん、横になって」

 

「クー」

 

「山登りの前に

肉球クリームを塗っておこうね♪」

 

「後ろも」

 

南登山道

 

「今年2座目だね」

 

杵島岳

 

「...パパといってらっしゃい!」

 

「...ママは?」

 

「整体なの」

 

「クー、わかった!」

 

草千里

 

阿蘇谷

 

振り返って草千里を見下ろしました。

 

阿蘇谷の向こうには壁のような外輪山。

 

思えばいつも、檻越しの風景に

始まりを探していたような気がします。

 

ふと、檻の向こうで誰かが近寄ってきて

手を振っていることに気付きます。

 

顔を上げると、

見知らぬ女性が私を見ています。

 

「この人が、私を檻から出してくれる?」

 

私も笑ってその人に近づきます。

 

「この子じゃないわね...」

 

安堵と失望が半分ずつ...

 

また売れ残っちゃった。

 

杵島岳山頂

 

中岳

 

ちぎれた低い雲間から刺しこむ光の筋。

 

その中に、

虹のような色をもった雲を見つけました。

 

彩雲です。

 

彩雲がその場所だけ選んでいるようで、

なぜか、「祝福されている」

という言葉が脳裏に浮かびました。

 

「クララ、見てごらん。

ママ(クララ1号)が待ってるよ」

 

「彩雲がママを連れてきた...」

 

いつかその日が来るでしょう。

 

ふと立ち止まり、

遠くの丘に目を向ける日が。

 

瞳をキラキラと輝かせ、

体を喜びに震わせる日が。

 

草原を軽やかに跳ねるシカのように、

どんどんスピードを上げて走っていく。

 

そう、遠くにあなたの姿を見つけたから。

 

「クー!」

 

「...グリニーズクーださい♪」