一緒に耐えることはできるはずだから | 阿蘇の国のクララ

 

2月27日(日)...

 

米塚下園地

 

阿蘇山ろくと外輪山に広がる原野の面積は

約2万ヘクタールといわれます。

 

その8割にあたる1万6千ヘクタールが、

2月から4月にかけて焼かれます。

 

野火が山肌をはい上がる豪快な風景は、

阿蘇に春を呼ぶ風物詩です。

 

米塚

 

 

パパ

「さて、帰ろうかな」

 

「...パパ、どこに行ってたの?...プン。プン。」

 

「野焼きを見学してた」

 

「...一緒に遊ぼう♪」

 

「クー!」

 

 

鳥の小塚公園

 

もうしばらくしたら、

黒い地肌を、

キスミレの黄色い花が覆います。

 

鮮やかな春の風景です。

 

「ここ、見晴らしいいよね」

 

谷を見下ろしている横顔に声をかけると、

ママはふっと笑みを浮かべて

「うん」とうなずきました。

 

「きれい」

 

私もママと同じように、

目の前に広がる景色を見つめました。

 

「クララ、大好きだよ。

本当に、本当に、大好き」

 

「そんなの、わかってる」

 

大切なママを、私の力では、

病気や死の恐怖から守ることはできない...。

 

大きすぎる恐怖を消してあげることは

できないとしても、

たとえほんの一部でも

貰ってあげることさえできないとしても。

 

ただそばに寄りそって、

一緒に耐えることはできるはずだから。