思い出したようにぱらぱらと | 阿蘇の国のクララ

 

11月6日(土)...

 

「雨...、今日だったら、登れなかったね」

 

「クー」

 

根子岳

 

「枝が落ちてる...、かたずけてくる」

 

「万十買ってくるね♪」

 

「クー♪」

 

後藤万十店

 

 

「クゥ?」

 

「クゥ」

 

「整体に行ってきます」

 

「クー」

 

「土曜日はいつもこのパターン...」

 

終わったら、

豊後街道(参勤交代の道)でした。

 

ようやく旅の実感が湧いてきました。

 

体のねじがやっと緩んで

少しずつ軽くなってきます。

 

「クー!」

 

人を好きになるのと同じ。

 

旅にも理由などいらない。

 

ただ旅に出たいから。

 

石畳の坂道はゆるやかなのぼりになっています。

 

自然と、三人で坂の下に立ち止まりました。

 

「なんだか、不思議と懐かしい感じのする場所だね」

 

ママが言うから坂の上を見上げました。

 

「クー」

 

明らかに何かが違う空気が流れています。

 

境界...

 

そんな言葉が頭に浮かびます。

 

「ママ、見えないけれど、

あの坂の上にはきっと

夢の国が広がっているよ。

きのう旅立った

リッケちゃんがいる。

びーちゃんも...リュウくんもいる。

きっと...」

 

思い出したようにぱらぱらと

雨が降ってきました。

 

夢の国のお友達は、

毎日ママの様子をうかがっています。

 

どうにかして、

ママの淋しさを埋めてやりたい。

 

ママの輝くような笑顔を見たい。

 

そう願っています。

 

ただ、

願えば願うほど、

ママは泣いてしまいます。

 

今日の雨のように、

思い出したようにぱらぱらと。

 

「クー」