シシ神様を探して | 阿蘇の国のクララ

 

9月25日(土)

午前6時...

 

早朝の冷え込みによって

発生した濃霧が

盆地内の地表付近に滞留すると、

高台からはあたかも

雲を見下ろしたかのように見えます。

 

高千穂の秋の風物詩

「雲海」の神々しい眺めです。

 

国見ヶ丘

 

加えて、

盆地の向こうの山並みから

昇る日の出は、

雲海に刻々と変化する

神秘的な彩を加えてくれます。

 

「見えてきた」

 

この眺めを求めて、

未明から大勢の見物客が

集まってきます。

 

「予想以上に出てる」

 

パパはうれしそうに言って、

少年のように駆けだしました。

 

神話の町...

 

この辺りの土地には、

目に見えない神秘的な力が

働いているのかもしれません。

 

四季見原へ...

 

標高1200メートル、

雲の上のキャンプ場もあります。

 

「クーちゃん、二人でカモシカ探すよ!」

 

「クー!」

 

竜ヶ岩の滝入り口

 

「パパ、私よくわかんないんだけど、

カモシカってなに?」

 

「氷河期から生き残っている、

シシ神様...。

九州ではもう

絶滅してしまうかもしれないんだ」

 

私は渓谷の山々をじっくりと眺めました。

 

世の中には、いろんな世界がある。

 

私たちが生活してるのは、人間の世界。

 

シシ神様が棲んでいる世界。

 

神様の世界。

 

仏様の世界。

 

いろんな世界があって、

それぞれが協力して守り合っている。

 

でも昔はもっと共存していた。

 

認め合って、

尊敬し合ってた。

 

時代は変わったけれど

忘れちゃいけないよ。

 

いろんな世界を、

もっともっと大事にしていかなくっちゃ。

 

午後6時...

 

「朝は、パパと二人で楽しかった?」

 

「クー♪」

 

俵山峠展望所

 

「今度ママも一緒に行こうよ?」

 

「私は寝てる方が好き」

 

「ゲッ!」