誰が一番自分を愛してくれるか | 阿蘇の国のクララ

 

8月16日(月)...

 

県内では今朝から

発達した雨雲が流れ込み...

 

午前中、南阿蘇で、

1時間に34.0mmの

雨を観測しました。

 

今月11日の降り始めからの雨量は、

山鹿で905.5mm、

天草で710.0mmと

平年の8月1か月分の

3~4倍近くに達し、

記録的な大雨となっています。

 

午後、弾みをつけて、

小雨の中を駆け出しました。

 

「クー!」

 

ほんの数メートル走っただけなのに、

つま先が泥にまみれました。

 

それでも足を止めずにいると、

どこからか声が聞こえた気がしました。

 

(空耳かな?)

 

立ち止まり、周囲を見回しました。

 

でも樹々が風に揺れているだけです。

 

「ベッグ」

 

今度ははっきりと誰かを呼ぶ声が聞こえました。

 

「...ユメノクニノジーンちゃん?」

 

ユメノクニノジーン

 

声のするほうに免の石が見えました。

 

阿蘇の国の聖地とも言われる場所で、

パパは夢の国への入口だと言っています。

 

「育美さんのベックくん...、

夢の国へ行っちゃうのかな?」

 

「そうみたいだね」

 

ためらいがちにママが言いました。

 

免の石から流れる沢

 

犬が野生を放棄して人に近づき、

一緒に暮らすようになった理由は...

 

人の心がわかるから。

 

犬は、人がなにを考えているか、

いまどんな感情なのかを、

まるで読心術を

あやつったかのごとく

察してしまう。

 

ベックくんはきっと、

誰が一番自分を愛してくれるか、

初めから気づいていたんだと思います。

 

育美さんが

ベックくんを連れて帰ったんじゃなくて、

ベックくんが育美さんを連れて帰った。

 

育美さんを伴侶として選んだ。

 

そして、幸せを掴んだ。

 

そうだよね、ベックくん。

「...ベックくんだ」

 

「さあ、一緒に遊ぶじょ!」

 

ユメノクニノバース