歳月人を待たず | 阿蘇の国のクララ

 

8月5日(木)...

 

「ショウコちゃんの故郷...」

 

高千穂町岩戸

 

「ショウコちゃん、届きました。

ありがとうございました」

 

「今度一緒に川行く?」

 

日之影町見立

 

傾山

 

「一度来たことがある...」

 

「天の古道(湾洞越)だね」

 

日之影町見立と

高千穂町岩戸を結ぶ

かつての生活道です。

 

見立地区に県道が整備されたのは

昭和30年代前半。

 

それまで見立の住民は

祭りや盆、正月には

古道を歩いて

岩戸に向かったそうです。

 

約3時間掛かりました。

 

明治10(1877)年の西南戦争では

薩摩軍の敗走路にもなりました。

 

8月20日~21日、

あえぎながら、

この峠に達した西郷軍は、

※500人ぐらいの隊

血刀を帯び、

又は鉄砲を杖と頼み、

西郷の身を案じながら

峠を降りて行ったそうです。

 

「アリスちゃん...!?」

 

「ううん、クーちゃんでごわす♪」

 

見立渓谷へ...

 

 

「ママ、ここらで泳ごうよ!」

 

「はーい!」

 

「いいところ♪」

 

「クー!」

 

見立の鉱石は、

見立礫岩(みたてれきがん)と呼ばれ、

心と身体を癒す不思議な力を持つとされ、

地元では古くから大切にされてきました。

 

人体にとって最も効果的に作用する

4~14ミクロンの遠赤外線を放出しています。

 

「クララとママにいいからって、

パパが遠くまで連れて来たのよ」

 

かもしかの森

 

 

「テヘッ♪」

 

「...アリス、気が済んだ?」

 

(まだ、いたい)

 

歳月人を待たず...

 

いつかまた行こうと思っていた山も川も、

人の都合などお構いなしに

どんどん遠ざかっていきます。

 

あの日、

カモシカの森の坂道を

アリスは走って下って行きました。

 

いつの間にか

姿が見えなくなっていて、

30分以上あたりを探しました。

 

「岩残っていたね」

 

「クー」