ZIGHT a.k.a SANZO / ELEMENTS OF STORY | 5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

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自分がビリビリと刺激的電撃を受けたCDやレコードなどの音を中心に、レビューっぽい感じで綴っていきます。よろしくです。

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NIGHT CAMP CLICK (以下NCC) のZIGHT a.k.a SANZO、2008年6月リリースの1stソロアルバム「ELEMENTS OF STORY」。

トラックプロデュースは、同クルーのYOUICHIが全てを手掛ける。NCCのアルバムも彼一人の手によるモノだったが、一辺倒にならないそのバラエティの豊かさは実証済みなので安心。マイクゲストは盟友FUKU DEL TORO、サイプレス上野、STERUSS、BES、エムラスタ、ポチョムキン、TIGREなど。横浜勢の名前が目立つな。

1曲目「INTRO」は、バッカゲンNCC的な雰囲気。スクラッチはTAPだしね。続く2曲目「TOKYO NIRVANA」に代表されるように、つんのめるようなフロウで言葉を詰め込む早口タイプのZIGHTのラップは、けして聴き取り易くはないだろう。更にかなりカッコつける。これでもかとカッコつける。ともすればS-WORDっぽくなってしまう危うさもあるが、言葉選びのセンスで乗り切っている印象かな。あ、褒めてんですよ。

6曲目「RIVER RUNS THROUGH IT」は、BELAMA2、FUKU DEL TORO、ZIGHT、CRIME SIXXXの順で回っていくマイクリレー。力強い流麗なピアノループはかなりSTERUSS的であり、BELAMA2とCRIME SIXXXはかなりハマり役。後半のKAZZ-Kのスクラッチもまた然り。だがこの曲での主役は文句ナシにFUKU DEL TOROだろう。ホントこの人、声もリリックもやバいなぁ。前半のハイライト。

9曲目「GHOST TOWN」は、BES、エムラスタ、ポチョムキンが参加した期待曲だったが、実力派の3MCが揃った割には化学反応はない。エムラスタの、「恐過ぎるCORE、まるで金曜のジェイソン in the エリア♪」のライン引用が良かったくらいかな。10曲目「EARLY THIS MORNING」は、今風のビートに歌フロウまで披露するが、セルアウトっぽく聴こえないのはZIGHTの声にブルースを感じるからだろう。

13曲目「ANYDAY」は、幻想的なYOUICHIのビートが秀逸!ゲストにZIGHTと声質が似ているTIGREを迎えている事によって、よりキャラ立ちが明確化しているようなマイク回しもヨシ。ところでTIGREって2000年辺りのBBPのMC BATTLEに出てたTIGREと同一人物なんだろうか? 14曲目「BELIEVE & DON'T BELIEVE」のようなラウンドしたビートも作れるからYOUICHIの幅広さは凄い。ここで語られるリリックはかなり危険性もあって、アルバム一のスリリングな曲に。前面に押し出す事はしないけど、けっこうサグな生活送ってたんだな。

繋ぎなんてもんじゃないクオリティの15曲目「INTERLUDE」を挟んだ16曲目「ELMENTS OF STYLE」は、裏・ABSOLUTELY BADにも収録したバッキンザデイもの。同年代辺りだと思われるリリックの、「相当態度が悪かったManhattanの無愛想な女の店員、俺らがCISCO派だった原因、未だ根に持つ全員」、「起きたら夕方だったさんピン、現場で聞きたかったあのセリフ」、「金に困って売った証言、発電所、希少価値で万券、その帰り渋谷エスパスでスロットですった最悪のあの日」辺りは他人事とは思えずにナミダ寸前。YOUICHIのビートは おセンチにならずにレイドバックしていく仕上がりで、アルバムの核となる曲だね。

ラストの17曲目「また会いましょう」は、去って行った仲間をいとおしみながらも前に進む決意表明のような曲。「腐るほどいたタメの奴らも今じゃ数えられる程に」のラインは沁みるね。NCCへのシャウトはYASURIと三日月へはナシ…。まぁ色々あるだろうけどさ。ゲストのサイプレス上野は完全に蛇足。

全17曲。
NCCの地力の高さを示しつけるようなアルバム。ZIGHTの世界観、YOUICHIのビート、どちらもかなりのクオリティでお届けされたアンダーレイテッドな一枚じゃね?ますますNCCの2ndが聴きたくなるよもう。FUKU DEL TOROのソロも。

マイク4本、いや、4000VOLT。