
村田大使からケネディ大使に宛てた書面中に触れられている、IOCバッハ会長に宛てたカルディコット博士の手紙は以下の通り。(邦訳)
カルディコット博士の手紙
2014年1月23日
トーマス・バッハ様
私は、内科医、小児科医として、福島第一原発事故によって放出された放射能汚染物質や放射線の医学的影響について精通しております。(私の経歴はhelencaldicott.comでご覧いただけます)
ここに一筆申し上げましたのは、2020年開催の東京オリンピックに出場する選手たちの健康に深い懸念を抱いたからです。
東 京電力は、一日ごとに採取する汚染水のサンプルから60種以上の人工放射性物質を確認しています。その多くは、セシウム-137、ストロンチウム-90、 ヨウ素-129など、核分裂が出現する以前の自然界には存在しなかった放射性物質です。つまり、この種の放射性物質の自然放射線として占める量はゼロで す。ところが一旦放出されると危険な状態のまま数百年間自然環境に残留します。
私の懸念事項は以下の通りです。
1. 東京都の一部地域は福島第一原発事故による放射能汚染を受けています。アパート、建物の屋根に生えている苔、通りの土壌から無作為に集めたサンプルを検査したところ、高濃度の放射能が検出されています。調査結果参照のご要望があれば応じます。
2. 従って選手たちは、アルファ線、ベータ線やガンマ線といった放射能を出す放射性ちりを吸い込んで体に取り込んでしまう恐れがあります。汚染された道路上や土中からのガンマ線による(エックス線撮影のような)外部被曝についても同様に考えられます。
3. 東京の市場に並ぶ食品の多くは放射能に汚染されています。政府による奨励策で福島県産の食材が売られているためです。(食品中の放射性物質を味やにおいで感知することは不可能な上、全品検査も実際的ではありません。)
4. 日本の東方沖で獲られた魚の多くは放射能に汚染され、中にはかなり深刻な度合いのものもあります。この問題は現在も続いており、ほぼ三年間毎日、損壊した原子炉からは300~400トンの汚染水が太平洋へと流れ込んでいます。
5. 汚染された食物や飲料を選手たちが摂取した場合、何年か後に癌や白血病を発症する可能性があります。こうした疾患の潜伏期間は、個々の放射性核種や罹患臓器によって異なりますが、五年から八十年です。
6. 日本政府は放射性廃棄物を焼却し、一部の焼却灰を東京湾に廃棄しています。そこはオリンピック選手たちが競技する会場です。
7. もう一つ大きな心配の種は、これから2020年までの間に、福島第一原発から更に放射能汚染物質が放出される可能性です。原発3号機と4号機は地震とその 後の爆発で激しく損傷。今後マグニチュード7以上の地震に襲われたら倒壊する危険性は増します。その場合、チェルノブイリの10倍もしくはそれ以上の放射 性セシウムが空中に放出される可能性があります。東京は既存の汚染問題に追い打ちをかけられ、選手たちは大きな危険にさらされます。
8. 福島第一原発には、1,000基を超える鋼製タンクが急きょ設置され、数100万ガロンの高濃度放射能汚染水を貯蔵し、更に1日400トンの汚染水が汲み 上げられています。未熟な作業員が設置したタンクがある上に、組み立てには、腐食したボルト、ゴム製シーリング材、プラスチックパイプ、粘着テープが使用 されています。次に大きな地震が起きたら、多くのタンクは破裂し、大量の高濃度汚染水が東京からわずか北の太平洋に流れ込むことになります。
以 上の理由から、私は会長からIOCに対し、生物医学の専門家による独立調査団の編成を促すよう強く要請いたします。即ち原子力産業及び原子力規制・監督機 関と金銭やその他の利害関係にないメンバーによって放射能の影響を受けた全地域を調査し、健康被害の広がりや程度を明らかにするのです。そしてこれが日本 が意欲を燃やす2020年の東京オリンピック計画の本格化で手遅れとなる前に行われることです。加えて、福島第一原発の原子炉と建屋の予断を許さない現 状、地下水問題、汚染水で満杯の膨大な数のタンクについて、調査団が理解し、報告することが必要不可欠です。
敬具
医学博士
王立オーストラレーシア内科医師会会員
ヘレン・カルディコット
(日本語訳 野村初美)
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