現場から:放射性物質含む廃棄物、悩む自治体 行き場を失う焼却灰 | clapton481のブログ

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毎日新聞 2013年04月13日 地方版より

 ◇国基準に従うだけでは解決せず

 福島第1原発の事故で全国に飛散した放射性物質は、震災から2年を経た今も県内自治体を悩ませる。震災前は建築資材に再利用されたり、埋め立てなどで処分されたりしていたごみや下水汚泥は焼却灰になることで、放射性物質が濃縮されてしまう。受け入れる民間業者や処理施設近隣の住民の理解が不可欠だが、一部の自治体では、処理できない焼却灰が行き場を失ってたまり続けている。県内自治体の現状を探った。

 ◇報道後に拒否--藤沢市

 約1600トンの下水汚泥焼却灰を一時保管している藤沢市。たまり続ける焼却灰を処分するため、同市は土砂などを混ぜて濃度を下げた上で建築資材に再資源化する装置を新設し、来年2月から稼働させる。

 震災前はセメント原料などとして民間企業に再利用を委託していた。だが震災後、焼却灰の放射性物質の濃度は、最大で1キロあたり6415ベクレルを検出し、建築資材に利用できる国の基準(1キロあたり100ベクレル以下)を大きく超えた。これまで委託していた業者は「濃度が高い」として受け入れを拒否した。

 焼却灰は当初、下水処理施設で焼却炉を備える辻堂浄化センター(辻堂西海岸3)に保管していた。ところがスペースがいっぱいになり、現在は市内にもう1カ所ある、大清水浄化センター(大鋸(だいぎり))にも倉庫を建て、保管している。倉庫を建築した時には、地元住民向けの説明会を開いた。保管期間は最長5年とし、その間に焼却灰を処理をする方針を示したことで同意を得た。

 導入予定の装置は、土砂や水と焼却灰を混合してセメントなどの原料を作るもので、受け入れ業者の望む基準に応じて混ぜる土砂などの割合を増やす。辻堂浄化センター内に設置し、約5000万円の整備費用と月額約540万円のリース代などは、東京電力に賠償請求するという。

 ところが今月、焼却灰を混合して処理する装置の導入方針を一部メディアで報道されると、数件の苦情が同市に寄せられただけでなく、当初は受け入れを予定していた2社のうちの1社が拒否に転じた。市は「風評被害を気にしているのだろう」と見ている。
川崎市は震災後、ごみの焼却で生じた主灰(しゅばい)(燃え殻)の海面埋め立ては続けたが、より放射性物質が濃縮される飛灰(ひばい)(ばいじん)は11年7月から、下水汚泥焼却灰は同年5月から、コンテナに入れるなどして浮島地区で一時保管を続けた。

 国が海面埋め立てに関する明確な基準を示さない中、市は国立環境研究所との共同研究などを基に昨年11月、国の基準(排水1リットルあたり75ベクレル以下)より厳しい、排水1リットルあたり10ベクレル以下とする独自基準を設けた。さらに放射性物質の流出を防ぐ鉱物を散布する施設なども導入。ごみ飛灰は対策が整ったとして、海面埋め立てを今月中旬から開始することを決めた。埋め立て地の排水の濃度は1リットルあたり3~4ベクレル程度を予想している。

 ただし、埋め立て対象は、今後新たに発生する飛灰のみ。これまで保管してきた飛灰や下水汚泥焼却灰については、最大で1キロ当たり1万3200ベクレルを検出するなど放射性物質の濃度が高いため、引き続き処理方法を検討している。

 飛灰の埋め立て処理開始に当たっては、周辺の企業や町内会長に個別に説明をしたほか、今後も要望があれば説明会を開催するとしている。

 ◇横浜市は埋め立て計画凍結--その他

 横浜市は県内で最も多い2万2800トンの下水汚泥焼却灰を保管している。11年9月に下水汚泥焼却灰(1キロあたり最大6468ベクレル)を南本牧廃棄物最終処分場(中区)へ海面埋め立てする方針を示したが、港湾関係者や地元住民らの反発で計画は凍結されたまま。ごみ焼却灰については、当初から主灰だけでなく、飛灰も原発事故前と同様に海面埋め立てを行っている。

 陸地に管理型処分場を持つ県内の多くの自治体は、震災後も変わらず埋め立て処分を行っている。ところが民間業者に埋め立てや再利用を委託している自治体は、11年11月に国の基準が示されるまでは受け入れを拒否されたところが相次いだ。県が管理する下水処理場4カ所では、最大で計5300トンの汚泥焼却灰がたまったが、12年1月から処理業者による受け入れが再開され、現在は相模川流域2カ所の3860トンにまで減少した。
 ◇独自に埋め立て--川崎市
震災前は全量を再利用していた横須賀市だが、現在は排出される焼却灰の3割程度しか受け入れてもらえず、残りは市の浄化センター内で保管している。鎌倉市も業者が受け入れを止めていた、11年度の約360トンの処理方法がまだ決まっていない。

 ◇「取り組むほど理解得られぬ」

 「まじめに事実を明らかにし、取り組むほど、なかなか理解が得られない」。焼却灰の処理に悩む自治体担当者が漏らした。対策が市民の知るところとなったため再利用や埋め立てが進められなくなった自治体もあり、担当者はもどかしさを抱えている。「風評被害」が経営に直結する民間業者にとっては、リスクのある物は扱いたくないだろう。

 ほぼ同程度の放射性物質の濃度であっても、ある自治体では民間業者に引き取ってもらえているのに、別の自治体では拒否されてしまい手間暇をかけて保管を続けている。なぜこのような差が生じてしまうのか。国が定めた基準に従うだけでは解決しないのが、放射性物質を扱う問題の難しさだ。

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 ◇放射性セシウムが含まれた廃棄物や水に関する国の基準

 <廃棄物>

▽1キロ当たり8000ベクレル以下=廃棄物を管理型処分場に埋め立てできる

▽1キロ当たり100ベクレル以下=廃棄物を建築資材などに再利用できる

 <水>

▽1リットル当たり75ベクレル以下=1キロ当たり8000ベクレルを超える特定廃棄物を水面埋め立てする際に発生する排水の濃度

▽1リットルあたり10ベクレル以下=飲料水、海水浴場の濃度

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 ◇県内自治体にたまる下水汚泥焼却灰

              保管量(トン)

横浜市         22800

川崎市          7438

 〃 (ごみ焼却灰)  15500

相模川流域(広域処理)  3860

横須賀市         1634

藤沢市          1600

鎌倉市           360

箱根町            15