12月5日 冷却水漏れ45トンに含まれるセシウムとストロンチウムの海洋汚染の違い、など 小出裕章(MBS)
2011年12月1日(木)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。
録音
http://youtu.be/E8dQP5K3hyw
水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生に伺います。小出さんこんばんは」
小出「こんばんは」
水野「よろしくお願いします」
近藤「こんばんは。よろしくお願いします」
小出「よろしくお願いします。」
水野「えーまずですね。先週金曜日、東京電力が福島第一原発事故に関して中間報告書を出しました。これ、は、まあ色んなこと書いてましたけど、また色んなこと書いてないこともあったかと思いますが。どう、小出先生は評価してらっしゃいますか?」
小出「すいません。私その中間報告書自体をまだ読んでいない、のです」
水野「(笑)」
小出「(笑)。で、マスコミで報道されてることだけは、読みましたけれども。もう、いい加減にして欲しいというぐらいにしか思いませんでした。」
水野「まあこれまでとは主張は変わってないですよね」
小出「はい。もうとにかく事故を……どうやって小さく見せるか。どうやって収束にもう向かっているかということを……だけ言いたいのかなと、私は受け止めました」
水野「はい。あくまで事故は地震ではなく津波が想定外に大きかったからだと、いうのがまあ柱になっているかと思います」
小出「そうですね。はい」
水野「そしてですね、今度は海の汚染について、伺いたいと思うんですが。」
小出「はい」
水野「高濃度の放射能に汚染された水、をこれ、処理する施設から、水が45トン漏れているのが見つかったと、東電が発表いたしました。」
※今回の冷却水漏れ、最低でも45トン(最大220トン)=セシウム20億2500ベクレル=ストロンチウム(推定)4兆5千億ベクレル
小出「はい」
水野「で、小出先生はこのたね蒔きジャーナルでもうずうっーーっと前からですね、えー、汚染された水は海に大量に漏れているはずだと」
小出「そうです」
水野「だから、少しでも早く遮断する壁を、地中に作らなきゃとおっしゃってきておりましたよね」
小出「……はい。いや、むしろ、そう……それも言いましたけれども。えーむしろそれより前にですね。コンクリートの構造物の中に汚染水がたまってるわけですから。必ず漏れると私は言いましたし。その、それはコンクリートの構造物でないようなところに移す以外にないと言いまして。」
水野「そうでした」
小出「私はタンカーに移してくれと言ったのです(苦笑)」
水野「そうです。もともとはこの汚染水はコンクリートで遮断できるような物ではなくて」
小出「そうです」
水野「もうよそに移すしかないんだと」
小出「そうです」
水野「だからタンカーをというのをもう」
小出「3月から言っています」
水野「3月からおっしゃっていて」
小出「はい」
水野「政治家にもこの言葉を何度となく」
小出「はい」
水野「直接ぶつけていただき、たね蒔きジャーナルを通して」
小出「はい」
水野「しかしながら、タンカーは、走らず」
小出「そうです」
水野「そして汚染水はコンクリートの、ねえ、作った中にずうっと押し込められて」
小出「はい」
水野「そして、やっぱり先生おっしゃっていたようにひび割れが出来て」
小出「たまたま今度は見えたんですね」
水野「そっから出てんのが」
小出「はい」
水野「たまたま見えたから東電も発表したんですかねえ」
小出「そうです。コンクリートの構造物は殆ど地下に埋まってますので、見えないまま東電が知らん顔をしてきたというだけのことなのであって、何を今更と私は思います。」
水野「だって今まで気づかないかって思いますよね」
小出「そうです。」
水野「見えなかった、ということですよね」
小出「そうです」
水野「見なかったといいますか」
小出「今度45トンといいますけども。10万トンを超えるような汚染水が、コンクリートの構造物、地下のピットとかトレンチとかというところにずうっと溜まり続けて、もう何ヶ月も経ってきたわけですから。もう一体どれだけが漏れてしまったのかと私は思います」
水野「これ、漏れた総量がですね、推定ですけれども。最大で220……え?220トン。最大で220トン」
小出「(苦笑)」
水野「という可能性もあるというんです?」
小出「それはあの、現在循環式の処理をしているその場所から何トン漏れたかというだけのことですね。」
水野「もっと多い? 可能性があるということですか」
小出「もちろん。もちろんです」
平野「他の亀裂部分からも……」
小出「そうです。もう10万トンたまってる亀裂部分からもう山ほどじゃんじゃん漏れてきたのです」
平野「そうですねえー」
小出「はい」
平野「だからそのへんの。そのことを言わないから、まあこう、やっぱ、漁業関係者のほうからもあの、不安の声が出て、しかもこの国際的にもですね、これはあの、大きななんか前、批判されてもおかしくない、あの事態になってますよね、今」
小出「そう思います。」
平野「ええー、これアメリカの西海岸にさえ、あの、行くかもわかんないわけでしょ。もう行きつつあるんでしょうけれども」
小出「はい。まあ、あの、震災瓦礫そのものがハワイにいつ届くっていうような話をしてるわけですし。えー海に汚染したものは必ず届きます。」
平野「うーん……」
小出「どこにでも」
水野「この汚染された水、漏れている水のセシウムの濃度がですね、1リットルあたり4万5千ベクレル。でこれは法律で定める基準のおよそ300倍、と言うんですね」
小出「はい(苦笑)」
水野「これってどう考えたらいいんですか」
小出「それはあのセシウムを浄化する装置を通ったあとになお、そうだと言うことなのであって。」
水野「ああそうか」
小出「はい。要するにその通る前は猛烈な汚染の濃度のセシウムなのですね。」
水野「淡水化の装置から出ていて、300倍なんですよね」
小出「そうです。えー……そのセシウムの浄化する装置、たぶんあの、ゼオライトを通したと思いますけれども。例えばストロンチウムという放射性物質はゼオライトには付きませんので、濃いまま、もうそこを通り抜けて、それがどの場から漏れたということだと思います」
水野「ストロンチウムについてはですね。これ推定で1リットルあたり、1億ベクレル」
小出「は、はい(苦笑)。」
水野「1リットルあたり1億ベクレル前後と見られてまして。」
小出「はい」
水野「これは基準の100万倍だと言うんですね。」
小出「はい」
水野「どん……これは海に流れるということはどういう事を意味するんですか」
小出「えー……要するに、それだけの汚染物が海へ、流れてしまったということですし。今聴いていただいたように、これまでそのままどんどん浄化装置が通ろうが通るまいが、トレンチピットから漏れて、漏れ続けてきたということです。そういう濃度のものが」
水野「少なくともストロンチウムの濃度を、こう薄めていくって言うのはできないんですか」
小出「薄めれば量が増えるだけですから、余計漏れてしまいますので。」
水野「そっか」
小出「本当は捕まえる以外にないんですけれども。えー捕まえる力も今はありませんし。一番早くできることはタンカーならタンカーに移すことだった、と私は思います」
水野「なるほどー」
平野「これそれじゃストロンチウムのあのー、前もお伺いしましたけど、比重は重いんですよね。」
小出「えー」
平野「海底に、あの、沈んで海藻とか、そういうのに吸収されやすいんじゃないですか」
小出「はい。そうですね。え……ん……セシウムとはちょっとあの、セシウムはものすごい水に溶けやすいんですけれども。えー、セシウムに比べれば水に溶けにくい、ストロンチウムは溶けにくいので、海底などにたまりやすいと思います。」
水野「それはどういうことを引き起こすおそれがあるんですか」
小出「えー、もちろんどんな放射能も危険なわけですし。えーセシウムのように水に溶けやすいのは広範囲に汚染が広がると思いますし。ストロンチウムに、水に比較的溶けにくいものは、えー近傍の土に汚染が貯まる、えーあるいは近傍の食べ物を、食べ物といったら失礼だけど、生き物を汚すということですね。」
水野「んー、そこ、海底だったら、」
小出「はい」
水野「あんまり私たちに関係しにくいなんてことは、ない、ですか?」
小出「えー海底には魚も、ヒラメなんてのは海底に生きてるわけですし。えー、貝類も海底に生きてるわけですし。そういうものに濃縮してくると、思います」
水野「しかしながらですね。えー今回放射線を研究していらっしゃる、先生方の一部の中で、」
小出「はい」
水野「新しい案が提案されているんだそうで。」
※asahi.com(朝日新聞社):除染で出た汚染土、海へ投棄案 研究者が提唱 - 社会
水野「これは放射能に汚染された土を、まあ除染、これからどんどん進めて、削りとったあとどこに持っていくのか。最終目的地は未だに見つかってませんけれども」
小出「はい」
水野「これ、持って行くとこないから、海へ、捨てよう、特にまあ海の底、深海、深いところに投棄しようという提案がなされたんだそうです」
小出「えー海底には魚も、ヒラメなんてのは海底に生きてるわけですし。えー、貝類も海底に生きてるわけですし。そういうものに濃縮してくると、思います」
水野「しかしながらですね。えー今回放射線を研究していらっしゃる、先生方の一部の中で、」
小出「はい」
水野「新しい案が提案されているんだそうで。」
※asahi.com(朝日新聞社):除染で出た汚染土、海へ投棄案 研究者が提唱 - 社会
水野「これは放射能に汚染された土を、まあ除染、これからどんどん進めて、削りとったあとどこに持っていくのか。最終目的地は未だに見つかってませんけれども」
小出「はい」
水野「これ、持って行くとこないから、海へ、捨てよう、特にまあ海の底、深海、深いところに投棄しようという提案がなされたんだそうです」
小出「はい」
水野「で、さすがにそのままで、ではなく、容器にいれてはどうかと、いう話らしいんですね」
小出「はい(苦笑)」
水野「でその、まあ、条件は海水で腐食しないで、そして高い水圧にも耐えられるよう気に、汚染された土を入れて、日本近海の推進2000メートル以下に沈める方法がいいんじゃないかと、いう提案をなさった先生方が居らっしゃるそうです」
小出「はい(苦笑)」
水野「小出先生いかがでしょうか、ご意見は」
小出「はあ、なんかまるで、漫画でも読んでるような気分ですね。その方たちは一体この日本という国の責任をどういうふうに思っているんだろうかなと私は思います。自分たちがやってきた、こと、まあ、電気が欲しいと言ってやってきたツケが今、あるわけで。えーそのツケを海に落としてしまうというようなやり方は、私は(笑)、想像すらできません。えーまあ私が提案してよければ、もしそんなことをするなら腐食しない容器に入れて東京電力の社内に積み上げて欲しいと思いますし。えー国会議事堂に積み上げるべきだと思います」
水野「うーん。あの、このー研究者の方はこうもおっしゃってるんですね。汚染された土をそのまま海に捨てたとしても、すでに原発事故で海に放出された放射能の、5%程度であると。だから海の汚染がこの捨て方で、著しく増えるわけではないんだ、という、ご意見だそうです」
小出「はい。それは、今現在、福島県を中心として汚染している……放射性物質、まあ地表の表面を汚染しているわけで。それを剥ぎとって海へ捨てたとしても、5パーセントだと言ってるわけですね。つまり、もうすでに20倍ものものを海に流したと、言ってるわけで(苦笑)」
水野「そういう意味ですよね」
小出「はい。そんなことを、胸をはって言えるようなことではないし、まずは謝らなければいけない。その上でまた汚染を捨てても構わないなんてことをどうして言えるのか、私には不思議で仕方がありません」
平野「先生そもそも、あのー、まあ海洋投棄というものは国際条約でこう禁止されてるんですね」
小出「禁止されてる。そうです」
水野「禁止されてるんですね」
平野「ロンドン条約でですね」
※ロンドン条約 (1972年) - Wikipedia
※環境省 報道発表資料-平成19年10月2日-「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の1996年の議定書」への加入について
小出「そうです。おっしゃる通りです」
平野「でそれで70年代80年代、そういう論議ありましたけれども。これはもうできないと、いうことになってるはずなんですねえ」
小出「はい。もう、こ、今、平野さん正しくおっしゃってくださったけど。ロンドン条約という国際条約で放射性物質を海に捨ててはいけないということになっていますので、実際上はできる道理がありません」
平野「うーん……」
水野「それでも捨てたいと思う学者がいらっしゃるようなぐらい、ほかに考えつかないってことですかね、逆に言うと」
小出「まあ、よほど無知な学者だと言っていいと思います」
水野「はい……どうもありがとうございました」
平野「どうもありがとうございました」
小出「はい。ありがとうございます」
水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生にうかがいました」